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執筆者の写真t-ogino

直射日光と間接光。綺麗な自然光を住宅に取り込む2つの方法、密集地での光の取り入れ方は?

更新日:8月29日


朝日が美しく入る住宅

綺麗な光を建築に取り込みたいと、いつも試行錯誤しながら設計をしています。


光の取り入れ方には、2つあります。

1)太陽光を直接取り込み、影と光のコントラストを作る方法。

2)北側窓や壁や床に一回 反射させた美しい間接光を優しく取り込む方法。


写真は、南側窓しか写っていませんが、北側のハイサイドライトから、床を反射させた光や、一度、2階に入った光が廻って一階に降り注いだり、色々な方角から色々な種類の光が混ざりあって、柔らかな空間を作りました。

土間のある木の部屋

住宅密集地の住まいでは、プライバシーを保ちながら、光を取り入れています。


目の前 に、道路 があり覗かれてしまいそうな、部屋

の内側に、土間空間をつくり、半透明引き戸リビングとわける事で、道路から中の様子が見てとれない、緩衝領域になっています。


柔らかい光が、半透明ガラスの窓から入ってきて、木の床木の壁、木の天井を照らしています。


プライバシーを重視するのが、今の住宅設計の方法です。

特に、都市部の住宅密集地では、必要不可欠になるけれど、明るさも、開放感も同時に欲しいです。

 


直射日光をとり込む住宅の設計方法


直射日光を取り込む住宅の設計方法には、自然光を活用して室内を明るく、快適にするためのさまざまなテクニックがあります。以下に、その主な方法をいくつか挙げて説明します。


1. 大きな窓の配置

  • 南向きの窓: 日本では、南向きの窓を大きくすることで、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を保つことができます。南からの日光は、冬の低い角度の太陽からも十分な光を取り入れ、暖房効果をもたらします。


  • 高窓(クリアストーリーウィンドウ): 高い位置に窓を設置することで、光が深く部屋の奥まで届くようにできます。この窓は、プライバシーを保ちながらも自然光を最大限に活用できる利点があります。


2. 天窓(スカイライト)の活用

  • 天井に設置する窓で、上から直射日光を取り入れることができます。特に日当たりが悪い部屋や廊下に使用すると効果的です。

  • 開閉可能な天窓を設置することで、換気も兼ねることができ、夏場の暑さ対策にも役立ちます。


3. サンルームの設置

  • サンルーム(ガラスで囲まれた部屋)は、直射日光を十分に取り込むことができ、寒い季節でも太陽の暖かさを享受できます。これにより、エネルギー効率を高めることもできます。


4. パッシブソーラーデザイン

  • 家の形状や配置を工夫して、自然のエネルギーを最大限に活用する設計です。例えば、南向きの大きな窓を設け、太陽の熱を吸収しやすい床材を使用することで、冬の暖房負荷を減らすことができます。

  • オーバーハングや庇(ひさし): 夏の強い日差しを遮りながら、冬の低い太陽の光を取り込むために、窓の上に庇を設けると効果的です。


5. ガラスの種類の選定

  • ローイーガラス(Low-Eガラス): 熱の反射率をコントロールできる特殊なコーティングを施したガラスで、冬は熱を逃がさず、夏は熱を反射します。これにより、光を取り込みながらも温度管理がしやすくなります。

  • トリプルガラス: 二重窓よりも断熱性に優れたトリプルガラスを使用することで、直射日光を取り入れつつ、熱の損失を最小限に抑えることができます。


6. 鏡や反射素材の利用

  • 室内に鏡や光を反射する素材を配置することで、取り入れた日光を効果的に拡散させ、部屋全体を明るくすることができます。


7. 内部のレイアウトと色彩

  • 壁や天井を白や明るい色にすることで、自然光が反射し、室内がさらに明るくなります。

  • オープンプランを採用することで、光が部屋全体に行き渡りやすくなります。


これらの方法を組み合わせることで、自然光を最大限に活用し、エネルギー効率が高く、快適な住空間を実現することができます。設計段階からの工夫が重要ですが、リフォームでも取り入れることが可能なアイデアも多く、さまざまな住まい方に応用できます。


北側の窓から自然光をとり込むと美しい光の理由


北側の窓から取り込む自然光が美しいとされる理由には、以下の点が挙げられます。


1. 安定した光の質

  • 北側から入る光は、直射日光ではなく散乱光が中心となります。そのため、光の量が比較的一定で、時間帯や季節によって大きく変わることが少なく、均一な明るさが保たれます。これにより、室内が落ち着いた雰囲気になり、安定感のある空間を作り出します。


2. やわらかく自然な光

  • 北側の光は直射日光に比べて柔らかく、陰影が穏やかになります。これにより、反射光も柔らかく拡散し、部屋全体が自然な明るさで満たされます。この特性は、特にアートギャラリーや写真スタジオなどで好まれます。陰影がやわらかく、色の再現性が高い光を提供するため、作品や物の本来の色合いを忠実に見せることができます。


3. 眩しさの軽減

  • 北側の窓からの光は、直射日光に比べて眩しさが少なく、目に優しいため、長時間にわたる作業や読書、パソコン作業にも適しています。眩しさによる目の疲れを軽減し、快適な室内環境を提供します。


4. 温度管理がしやすい

  • 北側からの光は、夏場の強い直射日光を避けることができるため、室温が急激に上がることが少なく、快適な温度を保ちやすいです。また、冬場でも直射日光による熱の変動が少ないため、一定の温度が保たれやすくなります。


5. インテリアやアートの演出に最適

  • 北側のやわらかい光は、色が淡く反射するため、インテリアやアート作品の陰影が美しく見えます。これにより、部屋全体がやさしい雰囲気に包まれ、穏やかな空間が作り出されます。特に、色調や質感を重視する空間設計においては、この北側の光が重要な役割を果たします。


6. 時間の経過に伴う美しい変化

  • 北側の光は、時間の経過とともに微妙に変化するものの、劇的な変化が少ないため、静かで美しい時間の流れを感じさせます。朝から夕方までの光の移り変わりを感じながら過ごすことで、自然との一体感が得られるでしょう。


これらの特性により、北側の窓から取り込む自然光は、室内を均一で落ち着いた明るさで満たし、美しい雰囲気を作り出すために非常に効果的です。このような光を取り入れることで、生活空間に穏やかな美しさを加えることができます。


土間を介して光をとり込む事でやわらかな光に変る


土間(どま)を介して光を取り込むことで、やわらかな光を室内に導入する方法について説明します。土間は、日本の伝統的な住まいに見られる空間で、主に玄関や通路として使われることが多いですが、その特性を活かして光を調整することも可能です。以下の方法で、土間を利用してやわらかな光を室内に取り入れることができます。


1. 光の拡散効果を利用する

  • 土間のデザイン: 土間を通じて取り込まれる光は、直接的ではなく、土間の床面や壁面で反射・拡散されます。土間の床や壁に明るい色や反射性の高い素材(例えば、白やクリーム色のタイル)を使用することで、光をより均等に拡散させることができます。


  • 土間の形状と配置: 土間を設ける位置や形状を工夫することで、光が室内の特定の場所に柔らかく届くように調整できます。例えば、土間を室内の中心に配置することで、周囲の部屋に均等に光を分配することができます。


2. 光の通り道としての土間の利用

  • 光のトンネル: 土間を通路として設計し、その両側に窓や天窓を配置することで、光がトンネルのように室内を通過する形にできます。この方法で、光が直射日光からやわらかな拡散光に変わり、室内の各部屋に柔らかい明かりをもたらします。


  • 土間の透明または半透明の素材: 土間に半透明の素材(例えば、ガラスブロックやアクリルパネル)を使用することで、外部の光を直接的に取り込むのではなく、柔らかく拡散させることができます。このような素材は、光を通しつつも強い眩しさを軽減する効果があります。


3. 光のフィルタリング

  • 植栽の活用: 土間に植物を配置することで、葉や枝を通して光を拡散させることができます。植物は光をやわらげる自然なフィルターとして働き、室内に優しい明かりを提供します。


  • 障子やカーテンの利用: 土間の窓に障子や透け感のあるカーテンを取り付けることで、光を柔らかく室内に取り入れることができます。障子やカーテンは、直射日光を柔らかく拡散させるための効果的な方法です。


4. 土間と室内のつながりを工夫する

  • 視覚的なつながり: 土間と室内の空間を視覚的に連続させることで、光が自然に流れ込み、全体の明るさを均等に保つことができます。例えば、土間からリビングルームやダイニングルームにかけて一貫したデザインを採用することで、光がスムーズに室内に広がります。


  • 土間の高さや傾斜: 土間の高さや傾斜を工夫することで、光の取り込み方や拡散の仕方を調整することができます。傾斜をつけた土間は、光の入射角を変え、室内に入る光の量や質を調整することができます。


5. 土間の反射効果を活用する

  • 反射素材の使用: 土間の床や壁に反射率の高い素材(例えば、ポリカーボネートや光沢のあるタイル)を使用することで、光を室内全体に均等に広げることができます。このような素材は、光を拡散させ、やわらかな明かりを提供します。


これらの方法を組み合わせることで、土間を介して室内に取り込まれる光をやわらかくし、快適で落ち着いた空間を作り出すことができます。土間は単なる通路や玄関以上の役割を果たし、光の取り入れ方や空間の雰囲気を大きく左右する重要な要素となります。


プライバシーと明るさを両立する、光をとり込む設計


プライバシーと明るさを両立させる設計方法には、以下のような工夫が考えられます。これにより、自然光を取り入れつつも、外部からの視線や隣家との距離を確保しながら快適な空間を実現できます。


1. 光を取り入れる窓の位置とサイズの工夫

  • 高窓の設置: 窓を高い位置に設置することで、外部からの視線を避けながらも上からの自然光を取り入れることができます。高窓は、プライバシーを確保しつつ、室内を明るく保つために有効です。


  • スリット窓やハイサイドウィンドウ: 縦長のスリット窓や天井近くの小さな窓を使用することで、プライバシーを守りながらも必要な光を取り入れることができます。これらの窓は、隣家からの視線を遮りつつも、効率的に光を取り込むことができます。


2. 光の拡散と調節

  • フィルター付き窓: 窓にルーバーやブラインド、カーテンを取り付けることで、光の量や方向を調整できます。例えば、調光可能なブラインドやロールカーテンは、光を柔らかく拡散させるとともに、プライバシーを保つのに役立ちます。


  • サンドブラストガラスやフロストガラス: これらのガラスは透明性がありながらも視線を遮るため、プライバシーを守りつつ明るい光を室内に取り入れることができます。サンドブラスト加工やフロスト加工により、光を柔らかく拡散させると同時に、外部からの視線を防ぎます。


3. 光の反射と拡散

  • 間接光の利用: 壁や天井に光を反射させることで、直接的な光源を使用せずに明るさを確保できます。間接照明を用いた設計により、部屋全体を均一に明るくすることができます。


  • 光の導入と拡散: 窓や開口部からの光を室内の反射材や鏡で拡散させることで、やわらかな明るさを実現できます。光の反射を利用して、室内の隅々まで明るさを届けることができます。


4. プライバシーを保ちながら光を取り込むデザイン

  • 内庭や中庭の利用: 内庭や中庭を設けることで、外部からの視線を遮りながらも自然光を取り入れることができます。庭や中庭があることで、開放的な雰囲気を保ちつつプライバシーを確保できます。


  • ランプやトンネルの利用: 光を導入するためのランプやトンネルを設置し、外部からの直接的な視線を避けることができます。これにより、光を効果的に取り入れながらもプライバシーを保つことができます。


5. 植栽や外部の遮蔽物

  • 植栽の活用: 窓の外に植栽や低いフェンスを設置することで、外部からの視線を遮りながらも自然光を取り入れることができます。植物は光をやわらかくし、プライバシーを守る役割も果たします。


  • 可動式の遮蔽物: 外部からの視線を遮るために、可動式の外部遮蔽物(シェード、パーゴラ、スクリーンなど)を利用することで、光の取り込み方を調整できます。使用する時間帯や季節に応じて調節できるため、柔軟な対応が可能です。


6. 室内の配置とレイアウト

  • 部屋の配置: 室内のプライバシーを保ちながら光を取り入れるために、部屋の配置やレイアウトを工夫します。例えば、リビングやダイニングを外部からの視線が少ない場所に配置し、寝室やプライベートスペースを内側に配置することで、プライバシーと明るさを両立させることができます。


  • 多層的な空間設計: 開放的な空間設計を採用することで、光を広く取り入れつつ、プライベートエリアを確保することができます。オープンなレイアウトにより、光の通り道を作り出し、室内の明るさを保ちながらプライバシーを守ることができます。


これらの設計方法を適切に組み合わせることで、プライバシーと明るさを両立させた快適な住空間を実現できます。デザインの段階でこれらの要素を考慮することで、効果的に光とプライバシーを調整し、理想的な空間を作り上げることができます。



住まいの設計・計画の解説


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