キッチンを検討する時、キッチンそのもの以上に、調理道具・食材等の収納計画がキモですね。隠す収納・見せる収納ともう一つ、「見せるつもりは無いけれど、出して置いておくと使いづらいから見えてしまう収納」がありますね。長い。。。実際は、この見せるつもりは無いけれど出して置く方が、使いやすいので出して置く方が多いですね。
キッチンの設計をする時に、調理道具や洗ったお皿・調味料、家電などをどこに置いて・どこに仕舞うか配置を検討しました。この写真、撮影した時に掃除片づけしない、普段の生活のままです。すごく丁寧に生活されてます。
リビングとダイニングキッチンの間に、格子の引戸をつくり、お客様が来た時、キッチンが散らかっていてもサッと引戸を閉じて見えなくもできますが、その用途で閉める事は無いそうです。(料理中・食事中のニャンコ進入防止で閉めています)
シンク・水栓側とコンロ側でちょっとだけ段差をつけているのは、コンロの五徳の高さと作業台の高さをあわせて、お鍋やフライパンの移動をスムーズにする為です。お米はどこにいれる?食材は?お鍋の大きさは?調理道具はどこに仕舞う取り出しやすい?調理の仕事をしている施主と、あれこれお話しながら設計していきました。
見た目も綺麗に完成
天板:ステンレスバイブレーション仕上
キャビネット:オーク材
オリジナルの造作キッチンについて
オリジナルの造作キッチンとは、既製品のキッチンではなく、オーダーメイドでデザイン・製作されるキッチンのことを指します。 一般的なシステムキッチンに比べ、設計の自由度が高く、住宅や使用者のニーズに合わせて細部までこだわったカスタマイズが可能です。 造作キッチンは、スペースの有効活用やインテリアの一貫性を保つために選ばれることが多く、特にデザインや機能性にこだわる方に人気です。
オリジナル造作キッチンの特徴
完全オーダーメイド: 既製品のキッチンに制約されることなく、収納の配置、天板の高さ、シンクやコンロの位置などを自由に決めることができます。 特に、キッチンが狭い場合や変形したスペースでも、最大限の機能性を持たせることが可能です。
素材の選択肢が広い: 天然木、ステンレス、タイル、大理石など、使用する素材を自由に選べます。 たとえば、ナチュラルな雰囲気を求めるなら木材、モダンな印象を与えたいならステンレスや石材を選ぶなど、全体のデザインに合わせた選択ができます。
デザインの一体感: 住宅全体のインテリアに合わせて、統一感を持たせたキッチン作りができます。 たとえば、リビングやダイニングとのつながりを考えたオープンキッチンや、家具との調和を図ったデザインなど、個々の住空間に適した一体感のあるキッチンを作成できます。
機能性の向上: 収納スペースを細かくカスタマイズできるため、普段使うキッチンツールや調理器具の収納場所を効率よく設けることが可能です。 また、動線も自分の使いやすさに応じて設計できるため、調理がよりスムーズになります。
長期的な価値: 造作キッチンは、個別のニーズに合わせて設計されているため、長期的に見て高い満足度を得やすいです。 また、メンテナンスがしやすく、部分的なリフォームや改修も容易に行えることが多いです。
オリジナル造作キッチンの注意点
費用が高くなる可能性: オーダーメイドであるため、既製品に比べると高額になる場合が多いです。 特に、高級素材を使用したり、複雑なデザインを希望した場合、予算を大幅に超えることがあります。
設計と施工に時間がかかる: 完全に一からデザイン・製作するため、設計から施工までの期間が長くなることがあります。 また、設計段階で細部を確認しながら進める必要があるため、依頼者との密なコミュニケーションが求められます。
メンテナンスの計画が必要: 素材や設計によっては、定期的なメンテナンスが必要になることがあります。 特に、木材などの天然素材を使用した場合、劣化や汚れが気になることがあるため、適切なケアが必要です。
造作キッチンを選ぶメリット
独自のデザインが可能で、他にはないキッチン空間を実現できる
家全体のインテリアに統一感を持たせることができる
使い勝手の良い配置や収納設計ができる
高品質な素材を使うことで、長持ちするキッチンを作れる
造作キッチンのデメリット
コストがかかりやすい
施工に時間がかかる
メンテナンスが必要な場合がある
オリジナルの造作キッチンは、時間とコストがかかるものの、長く快適に使える空間を作り出すための価値がある選択肢です。 機能性とデザインの両立を求める方には、非常に魅力的なオプションとなるでしょう。
ライフスタイルに寄り添うオリジナルキッチンの設計
ライフスタイルに寄り添ったオリジナルキッチンの設計は、家族構成や日々の生活スタイル、料理の頻度や好み、さらには使いやすさやデザイン性までを総合的に考慮し、カスタマイズされるキッチンを作り上げることを目的としています。 これにより、単なる料理スペースとしてだけではなく、日常生活の中心となる場所として機能します。
以下は、ライフスタイルに合わせたオリジナルキッチンを設計する際に重要な要素です。
1. 使い方に基づく設計
オリジナルキッチンは、家族や個人の使い方にぴったり合うように設計されるべきです。
料理頻度と調理スタイル: 例えば、料理が趣味で頻繁に調理をする場合、大きな作業スペースやプロフェッショナルな調理器具が求められることがあります。 逆に、あまり料理をしない家庭では、簡単な調理ができるコンパクトなレイアウトが好まれます。
家族構成: 小さな子どもがいる家庭では、耐久性や安全性を考慮した設計が必要です。 例えば、角の丸い天板や、安全に届かない高さに収納を配置することが考えられます。 一方、年配の方がいる場合は、腰を曲げずに使える高さの収納や、取り出しやすい引き出し式収納が便利です。
料理以外の用途: キッチンを家族とのコミュニケーションの場として使う場合、アイランドキッチンやカウンターを設けて、一緒に食事を準備したり、子どもが宿題をするスペースを確保するなどの工夫ができます。
2. 動線とレイアウトの最適化
キッチンの設計で最も重要なのが「動線」です。 効率的な動線を確保するためには、「ワークトライアングル」と呼ばれる調理台、シンク、冷蔵庫の位置関係を考慮することが重要です。 これらの要素をバランスよく配置することで、無駄な動きを最小限に抑え、作業効率が上がります。
動線の種類:
U字型キッチン: 3つの作業スペース(シンク、コンロ、冷蔵庫)を囲む形で配置されるレイアウト。 調理中に少ない移動で作業を完了できるため、効率が高いです。
L字型キッチン: コンパクトなスペースに適しており、家族や友人がキッチンに入ってきやすいのが特徴。 動線が短く、開放的な空間づくりにも役立ちます。
アイランドキッチン: オープンなスペースで、調理中も他の家族とコミュニケーションを取れるのが特徴です。 アイランドの片側を食事や仕事スペースとして使うこともできます。
3. 収納と整理の工夫
キッチンの機能性を高めるには、収納の設計が不可欠です。 収納スペースは使う頻度やアイテムの大きさに応じて、適切な場所に配置されるべきです。
パントリーの導入: よく使う食品や調理器具をすぐに取り出せる場所に配置し、パントリー(食品庫)などを設けて食材を整理しておくことで、キッチンがすっきりと片付きます。 これにより、買い物の頻度を減らすことも可能です。
引き出し式収納: 開き戸よりも引き出し式の収納を多く設けることで、奥の物も簡単に取り出せるようになります。 特に調理器具や食器を効率よく整理するために、引き出しの中に仕切りやトレイを設置するのも良いアイデアです。
吊り下げ式収納: 狭いキッチンでも、天井や壁面を活用した吊り下げ式の収納を設けることで、効率よく収納スペースを確保できます。 特に頻繁に使う鍋やフライパンを吊るしておくと、作業がしやすくなります。
4. 素材とデザインの選定
ライフスタイルに合った素材選びやデザインも重要です。 たとえば、掃除の手間を減らしたい場合、ステンレスや人造大理石のような、汚れが付きにくく掃除しやすい素材を選ぶと便利です。
ナチュラル素材: 自然な風合いを重視するなら、木材やタイルを使用したデザインが考えられます。 木材は温かみがあり、他のインテリアとも調和しやすい素材です。
モダンで機能的なデザイン: 都会的でシャープな印象を持つキッチンには、ステンレスやガラスを多用したデザインが向いています。 掃除がしやすく、シンプルかつ洗練された空間を演出します。
5. テクノロジーの活用
最近のオリジナルキッチンでは、スマート技術を取り入れた設備も増えています。 家事の効率をさらに向上させ、便利で快適な生活をサポートします。
スマート家電: Wi-Fiで操作できるオーブンや冷蔵庫など、遠隔操作が可能な家電を導入することで、調理や管理が効率化します。 タイマー設定やレシピの提案など、忙しい日常に合わせた家電が人気です。
タッチレス水栓や自動ゴミ箱: 手をかざすだけで水が出るタッチレス水栓や、センサーで開閉するゴミ箱など、衛生的で便利な設備も取り入れられます。
6. 生活空間との一体感
キッチンは他のリビングやダイニングとの調和も考慮されるべきです。 特にオープンキッチンの場合、生活空間との一体感を重視したデザインや素材の選定が必要です。
一体感のあるカウンター: ダイニングと連続するカウンターを設置し、料理の準備と食事がスムーズに行えるようにすることができます。
照明計画: キッチンは作業スペースだけでなく、食事や家族との会話を楽しむ場としても機能します。 そのため、明るさの調整ができる調光機能や、シーンに応じた複数の照明を設置するのもおすすめです。
ライフスタイルに寄り添ったオリジナルキッチンの設計は、日々の生活を豊かにし、長く愛される空間を作り出します。自分たちの生活に合ったデザインや機能をじっくり考え、専門家と相談しながら計画を進めることが、満足のいくキッチン作りの鍵となります。
キッチンの素材について
:
キッチンの素材選びは、見た目だけでなく、耐久性やメンテナンス性、コストなども考慮した重要なポイントです。キッチンにはさまざまな素材が使用されており、カウンター、キャビネット、シンク、床材など、各部分に応じた素材を選ぶことで、機能的かつ美しい空間を作ることができます。以下は、キッチンでよく使用される主要な素材とその特徴について詳しく説明します。
1. カウンタートップ(天板)に使われる素材
1.1 ステンレス
特徴: 耐久性に優れ、熱や水、汚れに強く、プロフェッショナルな厨房でもよく使われる素材。防錆性が高く、手入れも簡単です。
メリット:
耐久性が非常に高い
水や熱に強く、サビにくい
衛生的で、汚れやニオイが付きにくい
デメリット:
傷がつきやすい(細かい傷が目立つこともある)
冷たい印象を与えやすい
1.2 天然石(大理石・花崗岩)
特徴: 高級感があり、耐久性も抜群の素材。特に花崗岩(グラニット)は非常に硬く、耐熱性や耐傷性に優れています。一方で、大理石は美しい光沢があるものの、傷や酸に弱いという特徴があります。
メリット:
見た目の美しさと高級感
非常に丈夫で長持ちする(特に花崗岩)
耐熱性に優れている
デメリット:
コストが高い
大理石は酸に弱く、シミができやすい
重いため、施工に注意が必要
1.3 人工大理石(アクリル系・ポリエステル系)
特徴: 天然石に似た見た目を持ちながら、扱いやすく加工しやすい素材。アクリル系はポリエステル系よりも耐熱性や耐久性に優れています。
メリット:
天然石に比べて手入れがしやすい
汚れや傷が付きにくい
比較的安価で、デザインの幅が広い
デメリット:
熱に弱い(特にポリエステル系)
長期的には表面に傷がつきやすい
1.4 タイル
特徴: カラフルでデザイン性に富んだ素材。タイルの大きさや形、色を組み合わせて個性的なデザインを楽しむことができます。
メリット:
デザインの自由度が高い
耐熱性・耐水性に優れている
比較的安価
デメリット:
目地に汚れが溜まりやすく、手入れが大変
表面が割れやすい場合がある
1.5 木材(無垢材・突板)
特徴: 自然素材ならではの温かみと美しさを持つ木材は、ナチュラルで落ち着いたキッチンに最適です。無垢材は天然木そのものを使ったもの、突板は薄い木材を別の素材に貼り付けたものです。
メリット:
温かみのあるデザインで、リビングやダイニングとも調和しやすい
経年変化を楽しめる(無垢材)
修復が可能(無垢材)
デメリット:
水や熱に弱い
無垢材はコストが高い
2. キャビネット(収納)の素材
2.1 MDF(中密度繊維板)
特徴: 木材の繊維を圧縮して作られた合成木材で、強度があり加工しやすい。表面に塗装や化粧板を貼り付けて使用します。
メリット:
加工がしやすく、デザインの幅が広い
比較的安価
耐久性があり、安定した素材
デメリット:
水に弱い(湿気の多い環境での使用は不向き)
天然木に比べると質感が劣る
2.2 突板(ベニヤ)
特徴: 薄い天然木のシートを基材に貼り付けたもの。見た目は天然木に似ていますが、コストを抑えた素材です。
メリット:
天然木の風合いを楽しめる
比較的安価でありながら、高級感のある仕上がり
デメリット:
天然木ほどの耐久性はない
長期間使用すると表面が剥がれることがある
2.3 無垢材
特徴: 天然の木材をそのまま使用した素材。高級感があり、使い込むほどに味わいが増すのが特徴です。
メリット:
自然な風合いと高級感
長期間使用できる耐久性
修復やリフォームが容易
デメリット:
コストが高い
水や湿気に弱いため、定期的なメンテナンスが必要
3. シンクの素材
3.1 ステンレス
特徴: キッチンのシンクで最も一般的に使われる素材。耐水性や耐熱性、耐汚性に優れ、衛生面でも優れています。
メリット:
防錆性が高く、耐久性に優れている
汚れが付きにくく、掃除が簡単
コストが比較的安価
デメリット:
傷が付きやすい
硬い音が響きやすい
3.2 人工大理石(アクリル)
特徴: カウンタートップ同様、見た目が美しくデザイン性に富んでいる素材。汚れに強く、掃除が簡単です。
メリット:
デザインの自由度が高い
汚れやシミがつきにくい
温かみのある質感
デメリット:
熱や傷に弱い
長期間使用すると表面が変色することがある
3.3 セラミックシンク
特徴: 非常に丈夫で、汚れに強く、耐久性に優れた素材。特に欧米では人気の高い素材です。
メリット:
耐熱性・耐傷性が非常に高い
汚れやシミが付きにくい
美しい仕上がり
デメリット:
重く、施工が難しい
割れやすいことがある
4. 床材の素材
4.1 フローリング(無垢材・複合フローリング)
特徴: 木材を使った床材で、無垢材は天然の木をそのまま使用し、複合フローリングは表面に天然木を貼り付けた構造。温かみがあり、足触りも良いのが特徴です。
メリット:
温かみがあり、ナチュラルな雰囲気を演出
足触りが柔らかい
無垢材は修復が可能
デメリット:
水や湿気に弱く、キッチンでは注意が必要
定期的なメンテナンスが必要
4.2 クッションフロア
特徴: ビニール製で、クッション性があり、足に優しい素材。掃除が簡単で、耐水性があるため、キッチンに適しています。
メリット:
耐水性が高く、掃除が簡単
クッション性があり、足への負担が少ない
価格が安価で施工が簡単
デメリット:
見た目の高級感が少ない
長期間使用すると色褪せや傷が目立つ
4.3 タイル床
特徴: 耐久性とデザイン性に優れた素材で、特に耐水性が求められるキッチンでよく使われます。
メリット:
耐水性・耐久性が非常に高い
デザインの幅が広い
デメリット:
足元が冷たく感じることがある
割れやすい場合がある
キッチンの素材選びは、耐久性、見た目、メンテナンス性、コストなどを考慮しながら決めることが大切です。自分のライフスタイルやキッチンの使い方に合わせて最適な素材を選び、長く快適に使える空間を作り上げましょう。
一戸建て住宅設計プロジェクトの解説
戸建て木造リノベーション設計プロジェクトの解説
Comments