コールテン鋼の錆加工で製作したサイン。
わざと錆させる仕上方があります。
コールテン鋼には、黒皮仕上と錆仕上があります。
当初、デザイン的に、市松に組んだ天井材に錆加工したコールテン鋼を使う設計していたんですが、検証を進めていったら錆がかなり浮く事が解り、使用箇所を室外サインに変更しました。
ギリギリまで設計検討するけど、デザイン検討以上に機能性能を検討してます。
コールテン鋼とはどんな素材なのか?
成分と性質
コールテン鋼は、主に鉄に少量の銅、クロム、ニッケルを含む合金鋼です。これらの成分が錆びた表面に独特の色合いと耐久性を与えます。
銅とクロムが酸化皮膜の形成を促進し、錆が進行することで表面に保護層が形成されます。この層が鋼材を保護し、内部の鉄がさらなる腐食から守られます。
経年変化
コールテン鋼の特長的な赤褐色の表面は、酸化によって自然に形成されます。これが「経年変化」として知られ、時間と共に深みが増す美しい風合いが生まれます。
初期の段階では、錆びの進行が速く見えることがありますが、一定期間経過すると、安定した保護層が形成され、これ以上の腐食が抑えられます。
耐候性
コールテン鋼は非常に耐候性が高いことで知られています。具体的には、雨風、紫外線、温度変化などの環境要因に対して優れた耐性を持ちます。
この耐候性は、コールテン鋼の特長である錆びた表面が長期間にわたって持続するため、耐久性の向上に寄与しています。
デザイン素材としてコールテン鋼を仕上材として使う部分
建築などの仕上素材として、コールテン鋼を使用する代表的な部分はこちらです。
建築の外装
現代建築では、コールテン鋼がファサードや外装材として利用されることが多いです。その美しい錆びた表面が建物に独特の印象を与えます。
例えば、博物館、商業ビル、公共施設などで使用されることが多く、デザインの一部として意図的に選ばれることが多いです。
ランドスケープデザイン
コールテン鋼は庭園や公園の構造物にも使用されます。例えば、フェンス、ベンチ、アートインスタレーションなどで、その耐候性とデザイン性が活かされています。
また、耐久性が高くメンテナンスが少ないため、屋外のデザイン要素として非常に適しています。
インテリアデザイン
コールテン鋼は、インテリアのアクセントや装飾としても使用されることがあります。たとえば、カウンターのトリム、壁パネル、装飾的な要素などに利用されることがあります。市松天井のラボ・オフィスではインテリアのサインの素材として採用しました。
コールテン鋼(Corten steel)は建築仕上材としてよく使われる理由は?
美しい経年変化
コールテン鋼は、酸化して赤褐色の錆びた表面を形成します。この錆びた表面は単なる腐食ではなく、実際には保護層として機能し、鋼材内部のさらなる腐食を防ぎます。デザイン的にこの経年変化が魅力的で、独特の風合いが建築物に深みと個性を与えます。
耐候性
コールテン鋼は、風雨やその他の環境要因に対して優れた耐候性を持っています。このため、外部環境にさらされる建築物や構造物にも適しています。
メンテナンスの低さ
表面が自然に錆びて保護層が形成されるため、他の鋼材と比べてメンテナンスが少なくて済みます。錆びた表面が自己修復するため、長期的に見ても管理が楽です。
デザインの自由度
コールテン鋼は加工しやすく、さまざまな形状やデザインに対応できます。建築家やデザイナーにとって、意図するデザインや形状に仕上げやすい素材です。
耐久性
コールテン鋼は非常に耐久性が高く、建物の構造材や外装材としても長期間使用できます。これにより、長い寿命が期待できるとともに、長期的なコスト削減にもつながります。
これらの理由から、コールテン鋼は建築において独自の美しさと機能性を提供し、多くのプロジェクトで採用されています。
メンテナンスや素材としての扱い方
初期の錆びの進行
コールテン鋼が設置された直後は、通常、錆びの進行が速く見えることがあります。これは、錆びた表面が保護層を形成する過程であり、一定期間を経て安定します。
表面処理
表面が完全に錆びて保護層が形成された後は、特別なメンテナンスはほとんど必要ありません。ただし、清掃や定期的なチェックを行うことで、美観や機能を保つことができます。
設置環境
コールテン鋼を使用する際は、その設置環境や用途を考慮する必要があります。特に、極端な湿度や塩分の多い環境では、適切な設計と施工が求められます。
コールテン鋼はその美しさと機能性から、多くのプロジェクトで人気がありますが、適切な設計とメンテナンスが重要です。その特性を理解し、目的に合わせて使用することが成功の鍵となります。
オフィス設計プロジェクトの解説
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