【いい家・オブ・ザ・イヤー2023】を「斜め40do猫の家」が受賞しました。
2023年1年間の住宅事例830件の中、なんと!ランキング「第2位」です。
猫との暮らしを楽しむ、住まい手に寄り添う設計を心掛けました。
暑さを避けつつ自然光と敷地の風通しの良さを取り入れるために、建物の一部を斜め40度に振った住宅です。近隣へのプライバシーにも配慮した構成をしながら、太陽の光や風といった自然環境と向き合い、調和しながら安心・快適な住まいを維持する『パッシブハウス』です。
施主・現場監督・職人さんとつくりあげた家が評価されたのが、なにより励みになりますね。
※賞の順位が2位で、1位になれないところが、らしいというかなんというか。。。弊社らしいというか。。。ごにょごにょ。
パッシブハウスについて
パッシブハウス(Passive House)とは、エネルギー効率を最大限に高めるための建築基準で、快適な室内環境を維持しながらエネルギー消費を大幅に削減する住宅のことを指します。ドイツで開発され、近年では世界中で広く採用されています。
パッシブハウスの特徴
高断熱壁、屋根、床などに厚い断熱材を使用し、外部からの熱の侵入や内部の熱の逃げを防ぎます。これにより、冷暖房の使用を最小限に抑えることができます。
気密性パッシブハウスは非常に高い気密性を持ち、隙間風や外気の侵入を防ぐことで、室内の温度を安定させます。これにより、エネルギーの無駄を防ぎます。
高性能な窓トリプルガラスや特殊コーティングされた窓が使われ、断熱性や遮熱性が高まります。窓の位置や大きさも、日射を効果的に取り入れるために設計されています。
熱交換換気システム室内の空気を新鮮に保つため、換気システムが導入されますが、熱交換システムにより、排出される空気の熱を新鮮な外気に移し替えて、熱エネルギーのロスを最小限に抑えます。
自然エネルギーの活用太陽光や地熱などの自然エネルギーを積極的に取り入れ、冬は日射による暖かさを、夏は自然通風による涼しさを利用します。
パッシブハウスのメリット
エネルギー効率が高い冷暖房のエネルギー使用量が極めて低く、通常の住宅と比べて70~90%の省エネが可能です。
快適な室内環境室温の変動が少なく、年間を通して一定の快適な温度と湿度が保たれます。
健康的な生活環境換気システムによって常に新鮮な空気が供給され、結露やカビの発生が抑えられるため、健康的な住環境が提供されます。
パッシブハウスのデメリット
初期コストが高い断熱材や窓、換気システムなど高性能な設備が必要なため、建設費が一般的な住宅よりも高くなる傾向があります。しかし、長期的にはエネルギーコストが大幅に削減されるため、総合的なコストは低くなる可能性があります。
設計の制約パッシブハウス基準を満たすためには、建物の形状や向き、窓の配置などが厳密に設計される必要があるため、デザインの自由度が一部制約されることがあります。
ユーザーが特に興味を持っている屋上スペースや吹抜け空間も、パッシブデザインの一環として考慮できます。たとえば、自然光をうまく取り入れたり、風通しを確保する設計などが工夫されることが多いです。
いい家とはどんな家
「いい家」の定義は人それぞれ異なるかもしれませんが、一般的には以下のような要素が考慮されることが多いです:
1. 快適さ
温度管理: 冬は暖かく、夏は涼しい環境を保つことができること。
湿度と換気: 適切な湿度管理と良好な換気システムが整っていること。
音環境: 外部の騒音を遮断し、内部での音の反響や伝播が最小限に抑えられていること。
2. 安全性
耐震性: 地震などの自然災害に対して安全な構造であること。
火災対策: 火災に対する防火対策が施されていること。
セキュリティ: 外部からの侵入を防ぐための防犯対策がされていること。
3. エネルギー効率
省エネ: エネルギーの無駄遣いが少ない、高効率な暖房・冷房システムや断熱性能が高いこと。
持続可能性: 再生可能エネルギーの利用や、エコ素材の使用がされていること。
4. 機能性
生活動線: 家族の生活動線がスムーズで、無駄な移動が少ないレイアウトであること。
収納: 適切な収納スペースが確保されていること。
設備: 必要な設備が整っており、使い勝手が良いこと。
5. デザインと美観
外観: 周囲の環境と調和し、美しい外観を持っていること。
内装: 美しい内装や家具、仕上げが施され、心地よい空間であること。
6. 個別のニーズに対応
家族の要望: 家族一人ひとりのニーズやライフスタイルに合った設計がされていること。
将来の変化に対応: 家族構成や生活スタイルの変化に対応できる柔軟な設計がされていること。
7. コストパフォーマンス
初期コストとランニングコスト: 初期投資が高くても、長期的に見てメンテナンスコストやエネルギーコストが抑えられていること。
8. 健康とウェルビーイング
空気質: 良好な空気質を保つための対策がされていること。
光の取り入れ: 自然光を取り入れ、明るく健康的な生活環境が提供されていること。
「いい家」は、これらの要素がバランスよく組み合わさり、住む人のライフスタイルや価値観に合ったものと言えるでしょう。どの要素が重要かは、個人の価値観やライフスタイルによって異なるため、自分にとっての「いい家」を定義するために、これらのポイントを考慮するのが良いでしょう。
パッシブハウスの設計
パッシブハウスの設計は、エネルギー効率を最大限に高めるために、以下の要素が緻密に考慮されます。これらの要素が組み合わさって、快適でエネルギー効率の良い住宅が実現されます。
1. 建物の形状と配置
コンパクトな形状: 建物の外皮を最小限に抑え、熱損失を最小限にするため、コンパクトでシンプルな形状が推奨されます。
最適な配置: 日光の角度や風の流れを考慮して建物を配置し、自然エネルギーを最大限に活用します。南向きに大きな窓を設けることで、冬の太陽光を取り入れやすくします。
2. 断熱性能
高断熱材: 壁、屋根、床に厚い断熱材を使用し、外部の熱の侵入や内部の熱の逃げを防ぎます。断熱材は、熱伝導率の低いものを選びます。
断熱性の高い建材: 断熱性の高い外壁材や屋根材を使用します。
3. 気密性
高気密設計: 窓枠やドアの隙間、壁と天井の接合部など、全ての隙間をしっかりと封じることで、外気の侵入や内部の熱の漏れを防ぎます。気密性が高いことで、室内の空気が外部と効果的に分離されます。
4. 高性能な窓
トリプルガラス: 高断熱性のトリプルガラス窓を使用し、熱の伝導を抑えます。これにより、冬の寒さや夏の暑さを防ぎます。
低放射コーティング: ガラスに特殊なコーティングを施し、熱の伝導を減少させます。
5. 熱交換換気システム
熱回収型換気システム: 換気システムには熱交換器が搭載されており、排出される室内の空気から熱を回収し、新たに取り入れる外気に移します。これにより、エネルギーの無駄を防ぎ、室内空気の質も維持されます。
6. 日射と遮熱
日射取得: 冬場には太陽の熱を効果的に取り入れるため、南向きの大きな窓を設置し、日射熱を利用します。
遮熱対策: 夏の暑さを防ぐために、日射を遮る外部シェードや庇を設置し、過剰な熱の侵入を防ぎます。
7. 自然通風
通風計画: 窓の配置や開口部の設計により、自然の風を利用した効果的な換気を行います。これにより、室内の温度調節が自然に行えます。
8. エネルギー自給自足
再生可能エネルギーの利用: 太陽光発電パネルや地熱ヒートポンプなどの再生可能エネルギーを導入し、エネルギーの自給自足を目指すこともあります。
9. 内部環境の設計
内部の空間配置: より使い勝手が良く、生活しやすい空間配置を心がけます。例えば、リビングルームを南側に配置し、暖かい光を最大限に取り入れるなどの工夫をします。
パッシブハウスの設計は、これらの要素を統合的に考え、全体としてのエネルギー効率を高めることが求められます。設計段階からエネルギーの流れや建物の性能をシミュレーションし、最適な設計を行うことが重要です。
パッシブハウスを設計する時の、注意点
パッシブハウスを設計する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを適切に考慮することで、エネルギー効率の高い快適な住宅を実現することができます。
1. 設計段階での計画とシミュレーション
エネルギーシミュレーション: 設計段階でエネルギーシミュレーションを行い、建物の熱負荷やエネルギー消費量を予測します。これにより、断熱材の厚さや窓の配置などの最適な設計が可能になります。
建物の方位: 日射の角度や風向きなどを考慮し、建物の方位を最適に配置します。特に南向きに大きな窓を設けることで、冬場の太陽光を効率的に取り入れることができます。
2. 高断熱性能の確保
断熱材の選定: 高断熱性能を持つ断熱材を使用し、壁、屋根、床などの断熱性能を高めます。断熱材の厚さや種類は、地域の気候や建物の用途に応じて選びます。
断熱施工: 断熱材が隙間なく施工されるように注意します。断熱材と建物の接合部や窓周りの断熱処理を十分に行うことが重要です。
3. 気密性の確保
気密試験: 建物が完成した後に気密試験を行い、気密性能を確認します。試験で発見された隙間は、しっかりと補修し、気密性を保ちます。
施工の精度: 気密性を高めるため、施工精度が重要です。窓やドアの取り付け、壁と床の接合部などに隙間がないように注意します。
4. 高性能な窓の選定と配置
窓の性能: トリプルガラスや低放射コーティングされた窓を選び、断熱性と遮熱性を確保します。
窓の配置: 日射取得を最大限に活用できるように、南向きに大きな窓を設置する一方で、夏場の遮熱対策も考慮し、外部シェードや庇を設けます。
5. 換気システムの設計と設置
熱交換型換気システム: 熱交換型の換気システムを導入し、排気と給気の熱交換を効率的に行います。システムの設置位置やパイプの配置にも注意が必要です。
メンテナンス: 換気システムのフィルターや換気機器のメンテナンスが容易に行えるように、アクセスしやすい場所に設置します。
6. 遮熱と日射管理
遮熱対策: 夏場の過剰な熱の侵入を防ぐために、外部シェードや庇、遮熱フィルムなどの対策を講じます。
日射のコントロール: 冬場の暖房効果を最大化するために、適切な日射取得を意識し、夏場の遮熱と調整を行います。
7. 自然通風の設計
通風計画: 自然の風を利用した通風計画を立て、風通しが良い配置を設計します。これにより、室内の空気を新鮮に保ち、自然な冷却を図ります。
8. 施工品質の管理
品質管理: 施工時に高い品質管理を行い、設計通りに施工されているか確認します。特に断熱材や気密シーリングの施工精度は重要です。
施工業者の選定: パッシブハウスの設計と施工に経験豊富な業者を選ぶことで、設計意図が正確に実現されます。
9. 地域の気候に応じた対応
地域の気候条件: 地域ごとの気候条件に応じて、断熱材の厚さや窓の性能、遮熱対策などを調整します。寒冷地域と温暖地域では、設計の重点が異なるため、その地域の気候に適した設計が求められます。
これらの注意点を考慮しながら設計と施工を進めることで、パッシブハウスのメリットを最大限に引き出し、エネルギー効率の高い快適な住まいを実現することができます。
SUVACOのいい家・オブ・ザ・イヤー2023
SUVACOいい家・オブ・ザ・イヤー2023は、日本の住宅情報プラットフォーム「SUVACO」が主催する賞で、年間を通じて優れた住宅デザインや住まいの実績を評価するものです。この賞は、住まいに関する優れたアイデアやデザイン、施工の技術を称える目的で設立されています。
いい家・オブ・ザ・イヤー2023の特徴
審査基準
デザイン: 美しさと機能性を兼ね備えたデザインが評価されます。外観や内装のデザインが住む人にとって快適であるかどうかがポイントです。
機能性: 住まいとしての機能性や使い勝手が重要視されます。収納の使い勝手や生活動線、空間の使い方などが評価されます。
エネルギー効率: 省エネ性能やエコな取り組みが評価されます。パッシブハウスやゼロエネルギー住宅など、エネルギー効率の良い設計が評価されます。
住み心地: 住む人の快適さや健康を考慮した設計が評価されます。室内環境の質や居住者のライフスタイルに合わせた設計が重要です。
受賞作品
特別賞: 特に注目すべき優れた作品に贈られる賞で、デザインや機能性の面で際立った特徴を持つ住宅が選ばれます。
優秀賞: 高い評価を得た住宅で、デザインや機能性が優れていると認められる作品に贈られます。
一般部門賞: 一般住宅部門で、一般的な住宅として優れた設計や施工が評価される作品に贈られます。
2023年の受賞作品の例
受賞物件1: 環境に配慮した設計で、再生可能エネルギーを取り入れた住宅。自然光や通風を活用し、エネルギー消費を削減する工夫がされています。
受賞物件2: 都市部の狭小地に建てられたデザイン住宅で、限られたスペースを最大限に活用した斬新な設計が評価されました。
受賞物件3: 高い断熱性能と気密性を備えたパッシブハウス。快適な室内環境とエネルギー効率の良さが際立っています。
褒賞の意義
業界の認知度向上: 受賞作品は業界内外で高い評価を受けることが多く、受賞者の設計力や施工技術が広く認知されます。
新しいトレンドの紹介: 受賞作品は、現在の住宅設計のトレンドや技術革新を反映しており、業界の最新動向を知る良い機会となります。
SUVACOの「いい家・オブ・ザ・イヤー」は、優れた住宅デザインや設計のアイデアを広める役割を果たしており、住宅業界の発展に貢献しています。
公式ホームページはこちらから【株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所】
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