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執筆者の写真t-ogino

鉄骨工場での、鉄骨全数を目視+超音波探傷試験で検査。桜と中庭の家(東京都北区)

更新日:8月23日


鉄骨工場、鉄骨検査

鉄骨工場に行き、制作された鉄骨の検査を行いました。寸法や、溶接部分の目視検査、第3者検査員による超音波探傷検査の確認など、一通り、確認して来ました。綺麗な工場で、綺麗に制作して貰っています。 この鉄骨を敷地に運んで、建てて行きます。工事中の打ち合わせも、綿密に行っていますが、やはり現場を見る事も、同様に重要。特に鉄骨造の場合、この鉄骨の制作までに、作り方極力詰めて措かないと直しが効かないので、最も大事なポイントの一つです。

鉄骨検査で行う、具体的な検査方法


鉄骨工場での鉄骨検査は、建物の構造的な安全性を確保するために非常に重要なプロセスです。以下は、鉄骨検査の主要なポイントとその目的について、分かりやすく説明します。


1. 材料検査

  • 目的: 使用する鋼材が規定の強度・品質を満たしていることを確認し、建物の耐久性と安全性を確保するため。


  • 検査内容:

    • 材質試験: 化学成分の分析(C炭素、Siケイ素、Mnマンガン、Pリン、S硫黄などの含有量)を行い、規格に合致しているかを確認します。これにより、鋼材の耐久性や耐食性が確保されます。

    • 引張試験: 鋼材の引張強度(引っ張る力に対する抵抗力)を確認するための試験。これは、実際に鉄骨を引っ張って破断するまでの力を測定し、材料の強度が規定の基準を満たしているか確認します。

    • 曲げ試験: 鋼材が曲げられたときの破断や亀裂の有無を確認します。これにより、曲げに対する柔軟性と強度が確認されます。


2. 寸法検査

  • 目的: 鉄骨部材が設計図通りの寸法で製作されているかを確認し、組み立て時の誤差や問題を防ぐため。


  • 検査内容:

    • 長さ・幅・厚さの測定: 各部材の長さ、幅、厚さを高精度な測定器具(デジタルキャリパーやレーザー測定器など)を用いて測定し、設計図に記載された寸法と比較します。

    • 穴位置の確認: ボルト穴の位置や径が正確かどうかを検査します。ズレがあると現場での組み立てが困難になるため、非常に重要なチェックポイントです。

    • 角度や直角度の確認: 接合部の角度や部材が正確に直角を保っているかを確認します。


3. 溶接検査

  • 目的: 溶接箇所の強度と品質を確認し、溶接が設計通りに行われていることを確認するため。


  • 検査内容:

    • 外観検査: 目視や拡大鏡を用いて溶接部に割れ、欠陥、未溶着(溶接不良)などがないかを確認します。外観検査は、溶接ビードの形状や均一性も評価します。

    • 非破壊検査(NDT: Non-Destructive Testing): 溶接内部の欠陥を検出するため、以下の方法が用いられます。

      • 超音波探傷検査(UT: Ultrasonic Testing): 超音波を使って溶接部の内部を検査し、内部欠陥(割れや気泡)の有無を確認します。

      • X線検査(RT: Radiographic Testing): X線を使って内部構造を画像化し、欠陥を検出します。これにより、目視では確認できない内部の問題も特定可能です。

      • 磁粉探傷検査(MT: Magnetic Particle Testing): 鉄骨表面に磁粉を散布し、表面の割れや亀裂を検出する方法です。

    • 溶接強度試験: 試験片を引張試験や曲げ試験にかけて、溶接の強度が設計基準を満たしているか確認します。


4. ボルト・ナット検査

  • 目的: ボルトやナットの適正な締め付けと品質を確認し、接合部の強度を確保するため。


  • 検査内容:

    • 締め付けトルクの測定: トルクレンチを使用して、ボルトやナットが規定のトルクで締め付けられているか確認します。過剰な締め付けや不足は接合部の強度低下を引き起こすため、正確な測定が必要です。

    • 材質検査: 使用するボルト・ナットの材質(高強度ボルトなど)が設計基準に合致しているか、材質試験を通じて確認します。

    • 表面検査: ボルト・ナットの表面に錆や傷がないか確認します。表面に問題がある場合、腐食が進行しやすくなるため、品質が落ちる可能性があります。


5. 表面処理検査

  • 目的: 鉄骨の錆や腐食を防止し、長期的な耐久性を確保するために、適切な表面処理が施されているか確認する。


  • 検査内容:

    • 塗装厚さの測定: 塗膜の厚さが規定値を満たしているか、塗膜厚計を用いて測定します。均一な塗膜が施されていることが重要です。

    • 付着性試験: 塗装がしっかりと鋼材に密着しているかを確認するため、付着性試験を行います。通常、カッターで塗装に切れ目を入れ、剥がれ具合を評価します。

    • 耐候性試験: 亜鉛メッキや塗装の耐久性を確認するため、人工的に腐食環境を作り出し(塩水噴霧試験など)、処理の効果を評価します。


6. 組立て検査

  • 目的: 現場でのスムーズな組み立てを確保し、設計通りの接合が可能かを事前に確認するため。


  • 検査内容:

    • 試験組立て: 工場内で実際に一部の鉄骨を仮組み立てし、接合部のフィット感や全体の精度を確認します。特に重要な接合部については、実際にボルトやナットを使って組み立て、締め付け具合や接合部の強度を検査します。

    • 溶接部とボルト接合部の位置確認: 設計図通りの位置に接合部が設けられているかを確認し、現場での誤差を最小限に抑えます。


鉄骨工場での鉄骨検査は、複数の段階で詳細な検査が行われ、各部材が設計通りの品質と性能を持つことを保証します。これにより、鉄骨住宅が高い耐久性と安全性を持つことが確保され、長期間にわたり快適に使用できるようになります。各検査は、専門の検査員によって最新の技術を用いて行われ、厳密な基準に基づいて評価されます。


デッキプレート検査をする鉄骨工場

床スラブの下に敷く、デッキプレートです。サイズを確認。このプレートとコンクリートが一体化して、床スラブを形成します。

デッキプレートとは


デッキプレートとは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物の床や屋根の構造に使用される薄い金属製の鋼板のことを指します。主に建物の強度を増すため、コンクリートとの複合構造に用いられ、施工の効率化や経済性の向上に寄与します。デッキプレートは「デッキ材」とも呼ばれ、その上にコンクリートを打設することで床スラブを形成します。


デッキプレートの特徴と用途

  1. 主な用途:

    • 床構造: 鉄骨造や鉄筋コンクリート造のビルや倉庫などで、床のコンクリートスラブの下地として使用されます。デッキプレートはコンクリートと一体化して構造体の強度を増強し、耐荷重性能を向上させます。

    • 屋根構造: 一部の建物では、デッキプレートが屋根の下地として使用されることもあります。


  2. 材質:

    • 通常、亜鉛メッキされた鋼板で作られており、耐食性や耐久性が求められる場合に適しています。メッキ処理は錆びにくくするためのもので、長期の使用に耐えるように設計されています。


  3. 形状:

    • デッキプレートは波形や凹凸のある形状が施されていることが一般的です。この形状は、コンクリートとの接合性を高めるために重要です。凹凸があることで、コンクリートとプレートがしっかり結合し、滑りやすさを防止します。


  4. 施工の効率化:

    • デッキプレートは現場での施工を効率的にするために用いられます。プレートがコンクリートの型枠として機能するため、型枠の設置や解体の手間が省けます。さらに、現場での作業時間の短縮や施工コストの削減に寄与します。


  5. 荷重支持:

    • コンクリートが固まる前の段階で、人や材料の荷重を支える能力があります。そのため、工事中も安全に作業を進めることができます。


  6. 防火性能:

    • デッキプレートは通常、防火性能を向上させるための素材や設計が施されています。コンクリートと組み合わせることで、火災時の耐火性が向上し、建物全体の安全性を確保します。


デッキプレートの種類

デッキプレートにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる用途や性能を持っています。


  1. 合成デッキプレート:

    • 主に床のコンクリートスラブと一体化するように設計されています。凹凸のある形状により、コンクリートとの接合が強化され、合成床スラブの一部として機能します。合成デッキプレートは、床の構造強度を高めるために使用されます。


  2. 型枠兼用デッキプレート:

    • 一時的な型枠としての機能を持つデッキプレートで、コンクリートが固まるまでの間に使用されます。型枠としての役割が終わった後も、床構造の一部として残るため、施工の手間を削減します。


  3. リブデッキプレート:

    • デッキプレートにリブ(突起)が付いているタイプで、より高い剛性を持ち、広いスパンに対応可能です。特に商業施設や大型倉庫などでの使用が一般的です。


  4. ハーモデッキ:

    • 騒音対策が必要な建物で使用されるデッキプレートで、吸音材を内蔵しているものが多いです。学校やオフィスビルなどで音響効果を高めるために用いられます。


デッキプレートの施工手順

  1. 準備:

    • 鉄骨の梁にデッキプレートを取り付けるための準備を行います。梁の位置や間隔、デッキプレートの形状に応じて設置計画を立てます。


  2. デッキプレートの敷設:

    • デッキプレートを梁の上に敷き詰めます。敷設時には、隣り合うプレート同士が正しく接合されるよう、重ね合わせて配置します。


  3. 固定:

    • デッキプレートは、クリップや溶接を使って梁に固定されます。固定が不十分だと、施工中に動いてしまい、危険を伴うため、しっかりと固定することが重要です。


  4. 鉄筋の配置:

    • デッキプレートの上に鉄筋を配置します。これにより、コンクリートとデッキプレートが一体化し、構造強度が向上します。鉄筋の配置は設計図に基づいて正確に行われます。


  5. コンクリート打設:

    • デッキプレートの上にコンクリートを打設します。コンクリートはプレートの凹凸部分にしっかりと流し込まれ、固まると一体化して強度を発揮します。


  6. 養生:

    • コンクリートが固まるまでの間、適切な湿度や温度を保つための養生を行います。これにより、コンクリートの品質が向上し、ひび割れや強度低下を防ぎます。


デッキプレートの利点

  • 施工効率の向上: 型枠を設置する手間が省け、施工時間が短縮されます。


  • コスト削減: 材料費や人件費の削減が可能です。


  • 軽量化: デッキプレート自体が軽量であるため、建物全体の重量を抑えられます。


  • 安全性: 施工中の作業床としても機能し、工事現場の安全性が向上します。


  • 耐火性・耐久性: コンクリートと一体化することで、耐火性能が向上し、建物の耐久性が確保されます。


デッキプレートは、建築物の効率的な施工と構造的な強度を確保するために欠かせない部材です。さまざまな種類のデッキプレートが存在し、用途に応じて適切なものが選ばれます。


エキスパンドメタルの階段段板

階段に使う、エキスパンドメタルも制作中でした。 足を踏むカ所(踏み面)と、蹴込板に使います。 この階段の為に、オリジナルのディテール(細かい納まり)を考えたのですが、その部分が実際の処、どんな感じに納まるのかなと・・・思っていたのですが、想像以上に、綺麗かつ、技術的にしっかり納まっていたので、一安心。 自慢のディテールです。

建築素材でとして使うエキスパンドメタルの特徴


エキスパンドメタルは、金属シートを特定の形状に切断し、その後引き伸ばして形成された金属製の網状構造材料です。この技術は、材料を削減しながら強度を維持するために開発されており、建築や工業用途で広く使用されています。以下は、エキスパンドメタルの詳細とその特徴、用途についての説明です。


エキスパンドメタルの基本情報

  1. 製造方法:

    • エキスパンドメタルは、まず金属シート(通常はスチール、アルミニウム、ステンレススチールなど)にスリット(切り込み)を入れ、その後に引き伸ばすことで作られます。このプロセスによって、菱形や六角形などの網目状のパターンが形成されます。

    • 切断と引き伸ばしの一連の工程により、材料の無駄が少なく、加工後の金属シートが一体化したままの状態で、強度が高く、軽量な製品が得られます。


  2. 特徴:

    • 強度と軽量性: エキスパンドメタルは、もとの金属シートの強度を保持しつつ、重量を削減します。このため、耐久性がありながらも軽量であるため、建築や工業製品での使用が容易です。

    • 通気性と透視性: 網目状の構造により、通気性や透視性が高く、風や光を通すことができます。この特性を活かして、通気口やフェンス、日除けなどに利用されます。

    • 滑り止め効果: 表面が凸凹しているため、足元が滑りにくく、滑り止めの効果があります。このため、階段や歩道、プラットフォームなどの床材として使用されることが多いです。

    • 耐久性とメンテナンス性: 亜鉛メッキや塗装などの表面処理を施すことで、腐食や錆に対する耐性が向上します。これにより、メンテナンスの手間が少なく、長期間の使用が可能です。

    • 多様なデザイン: 網目の形状や大きさ、厚み、材料の種類が選択可能で、建築デザインにおいて多様な表現が可能です。


  3. 材料の種類:

    • スチール(鉄): 強度が高く、構造的な用途で一般的に使用されます。亜鉛メッキや塗装で防錆処理が施されることが多いです。

    • アルミニウム: 軽量で耐食性に優れており、屋外の建築物や装飾的な用途に適しています。腐食に強く、メンテナンスが簡単です。

    • ステンレススチール: 高い耐食性と耐久性を持ち、特に過酷な環境や衛生管理が求められる場所で使用されます。食品産業や医療施設、化学工場などでよく使われます。


エキスパンドメタルの主な用途

  1. 建築用途:

    • ファサードやカーテンウォール: 建物の外装にエキスパンドメタルを使用することで、デザイン性と機能性を両立させることができます。通気性がありながら、日射を適度に遮ることができ、エネルギー効率の向上にも寄与します。

    • バルコニーや手すり: 軽量で強度があるため、バルコニーの柵や手すりに適しています。また、視認性が良いため、開放感を保ちながら安全性を確保できます。

    • 内装材: エキスパンドメタルは、天井や壁のアクセントとしても使用されます。照明効果と組み合わせることで、視覚的に魅力的な空間を作り出すことが可能です。

    • 階段や歩道: 滑りにくい特性を活かして、階段の踏み板や歩道の床材として使われます。工業施設や公共施設、交通機関のプラットフォームなどでもよく見られます。


  2. 工業用途:

    • 機械カバーや保護フェンス: 機械設備の保護カバーや安全フェンスとして使用されます。通気性があり、視認性が確保されるため、機械の状態確認やメンテナンスが容易です。

    • フィルターや分離器: エキスパンドメタルの網目は、空気や液体の流れを制御し、異物の除去に役立つため、フィルターの構造材として使用されることがあります。


  3. その他の用途:

    • 家具やディスプレイ: エキスパンドメタルの軽量性とデザイン性を活かして、モダンな家具や展示用のディスプレイスタンドなどに使用されます。

    • 防犯対策: 建物の窓や出入口にエキスパンドメタルを取り付けることで、防犯性能を高めることができます。堅牢で切断が難しいため、侵入防止効果があります。


エキスパンドメタルの利点と注意点

  1. 利点:

    • コスト効果: エキスパンドメタルは一体型の構造であるため、溶接や接合部が少なく、製造コストが比較的低いです。また、加工の際に素材の廃棄が少なく、効率的です。

    • 設置の容易さ: エキスパンドメタルは軽量で、設置や取り扱いが容易です。これにより、施工の時間と労力を節約できます。

    • 耐久性: 腐食や錆に強く、長寿命です。特に屋外での使用に適しており、過酷な環境にも耐えられます。


  2. 注意点:

    • エッジの処理: 切断されたエキスパンドメタルのエッジは鋭利になることがあるため、怪我を防ぐためにエッジの処理が必要です。

    • 設計の考慮: 網目の大きさや形状によっては、埃やゴミが溜まりやすくなることがあります。メンテナンスが必要な場所では、適切な設計を行うことが重要です。


エキスパンドメタルは、その強度、軽量性、通気性、耐久性などの特徴から、建築および工業分野で広く使用されています。建物の外装や内装、機械カバー、フィルター、フェンスなど、多岐にわたる用途に対応できる素材です。さらに、エキスパンドメタルはデザインの自由度が高く、機能的で美しい建築デザインの要素としても活用されています。



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