マンションのリノベーションをしていると、特有のよさと難しさがあります。
セキュリティーが比較的しっかりしていますし、ゴミはいつでも出せるなど、
集合住宅ゆえの生活のし易さもあります。
その代わり、自然と遠くなるきらいがある。
1階でない限り、植物や庭から遠くなりますが、もっともな難点は、
光や風を取り入れづらくなることです。
光と風を採りづらい
一つの部屋に、二つの窓はとれない
マンションでは、角部屋でない限り、左右両側に隣の住まいが隣接しています。
隣接住戸との間の壁は、コンクリートの壁で仕切られていることが多く、防音対策になり、その堅牢さから、プライバシー感が増し、守られている感覚になります。
左右両側に隣接住戸に挟まれていますから、窓がついているのは、それ以外の場所。
南側に窓のある、南に面した住まいでは、南側と北側しか窓は無い。。
当然、南側のリビングに東側や西側に窓が無く、一つの部屋に一方向からの窓しかありません。
光は一つの窓から入って来ますが、風通しは、風が入る場所と出る場所の2方向なければ、風は通りません。
南側に2つ窓があっても、風は流れてくれないんです。
2つの方向を最大限、利用する
リビングや、寝室など各部屋ごとに風を取り入れることは、マンションではできません。
マンションの住まい全体で風通しをつくっていきます。
風通しを良くするには、窓のある南北2つの方向を繋げて、風の抜け道をつくってあげる必要があります。
ファミリータイプのマンションでは、60㎡~100㎡の面積の中に、2LDKや3LDKのように、複数の部屋が入っている間取りが一般的です。
玄関入って廊下があり、廊下から、色々な部屋につながる間取り。
実は廊下が邪魔になってしまい、風が抜けません。
南側リビングから入った風は、廊下に入っても玄関ドアでさえぎられ、抜け道が無い為、風が動いてくれません。
風を通すには寝室含め、家中の扉をあけておかなくてはなりません。
住まい全体で、風を通す。
リノベーションをする時は、風の通り道をつくります。
南側リビングから風を取り入れ、廊下を通り北側まどから、風を外に流します。
図面のように、北側の部屋を大きな土間空間にすることで、寝室を通さずとも風の抜け道ができます。
生活を楽しむ人の中には、屋外での行動を楽しむ方も多い。
アウトドアで使うものを置いておく場所がなかったりします。
ちょっと高価な自転車は、共用の自転車置場において置きたくないですし、ゴルフバック、子供のスポーツ用品、小さなお子様がいる家庭では、ベビーカーをさっと置いておける場所が必要。
土間空間は、なんにでも使えるユーティリティーなスペースですので、マンションなのに日曜大工をしたり、自転車のローラートレーニングをしたり、ストレッチスペースになったり、ご近所さんとのカフェスペースになったり本当に多様な使い方が可能です。
土間スペースの窓を通して、風が家の中を通ります。
人がすぐそばを通る、共用廊下に向かって窓を開け放しておくのは、気持ちに抵抗がありますが、外の方との接点である玄関でもある、土間空間の窓であれば、開けておいてもさほど気になりません。
リノベーションで場に余裕をつくる
土間空間は玄関と一体になっています。
マンションの玄関は非常に小さいですが、その玄関が大きくなります。
玄関が大きいと、住まい全体の空気感に包容力を感じます。
また、何にでも使える場というのは、生活に工夫をする余地を与えてくれます。
そして、風も通り気持ちが良い。
一挙両得な間取りに変わります。
マンションリノベーションとは
マンションのリノベーションは、既存のマンションの住空間を改修して、新しいデザインや機能を追加するプロセスです。リノベーションを成功させるためには、計画から施工までの段階をしっかりと理解し、適切に進めることが重要です。以下に、マンションリノベーションの基本的なステップとポイントを詳しく説明します。
1. 目的と要望の明確化
まず最初に、リノベーションの目的を明確にしましょう。以下のような点を考慮して、家族のライフスタイルや将来の計画に合った要望をリストアップします。
生活の質を向上させるための改善点(例えば、キッチンやバスルームの使いやすさ)
空間の有効活用(収納スペースの増設、間取り変更など)
デザインやインテリアの変更(モダン、和風、ミニマルスタイルなど)
機能性の向上(断熱性能、耐震性能の強化)
2. 予算の設定
リノベーションには費用がかかりますので、予算を事前に設定しておくことが重要です。費用には、設計費用、材料費、施工費用、また予備費用(予期しない追加費用への備え)などが含まれます。専門家に見積もりを依頼し、どの程度の予算が必要かを確認しましょう。
3. 設計とプランニング
設計事務所と協力して、具体的な設計プランを作成します。この段階で、間取りの変更、使用する素材や設備、デザインコンセプトなどを決定します。3Dモデリングや図面を使用して、完成後のイメージを視覚的に確認することも有効です。
4. 管理組合との調整
マンションリノベーションでは、管理組合の規定や建築基準法を遵守する必要があります。特に、構造に影響を与える改修や共用部分の変更には、事前に管理組合からの許可が必要です。計画を提出し、必要な手続きを行いましょう。
5. 施工業者の選定
信頼できる施工業者を選びましょう。過去の施工事例や口コミ、実際の訪問インタビューなどを参考に、業者の信頼性や技術力を確認します。契約前に詳細な見積もりを取り、施工スケジュールや保証内容を確認することも重要です。
6. 施工
リノベーションの施工が始まります。施工期間中は、進捗状況を定期的に確認し、問題が発生した場合は迅速に対処するようにします。施工業者とコミュニケーションを取り、必要な調整を行います。
7. 完成・引き渡し
施工が完了したら、引き渡し前に最終確認を行います。設計図通りに施工が行われているか、品質に問題がないかを確認します。また、リノベーション後の空間の使用方法やメンテナンス方法についての説明を受けます。
8. アフターメンテナンス
引き渡し後も、定期的なメンテナンスが必要です。リノベーション会社によっては、一定期間の保証やアフターサービスが提供される場合があります。問題が発生した場合は、速やかに対応してもらえるように、業者との連絡を保ちましょう。
マンションリノベーションは、生活の質を向上させ、空間を最大限に活用するための素晴らしい方法です。しかし、成功させるためには計画的な準備と実行が不可欠です。プロフェッショナルなサポートを受けつつ、自分たちの希望やニーズをしっかりと伝えることで、理想の住まいを実現できます。
マンションの間取りをリノベーションで変更設計するときの注意点
マンションの間取りをリノベーションで変更する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを無視すると、施工上の問題や法的なトラブルが発生する可能性があるため、慎重な計画と専門家との協力が必要です。以下に、マンションの間取り変更時に考慮すべき主なポイントを詳しく説明します。
1. 構造上の制約を理解する
マンションのリノベーションで最も重要なのは、建物の構造に影響を与えないようにすることです。一般的に、以下の点に注意する必要があります。
耐力壁:耐力壁は、建物全体の強度を支えるために必要な壁です。これを撤去したり変更したりすることは、建物の安全性に影響を与えるため、許可されない場合がほとんどです。事前に設計図を確認し、耐力壁の位置を把握することが重要です。
配管・配線の制約:マンションでは上下階との配管や配線の接続が必要です。キッチンやバスルームの位置を変更する場合、配管の長さや勾配、配線の引き直しに制約があることを理解しましょう。また、マンション全体の給排水システムに影響を与える可能性も考慮する必要があります。
2. 管理規約の確認と管理組合への申請
マンションには管理規約が存在し、リノベーションの内容に制限が設けられていることが一般的です。例えば、共用部分への影響や騒音問題を避けるための制限が含まれることがあります。
管理規約の確認:まず、管理規約を詳細に確認し、リノベーションで許可されている範囲を把握しましょう。
管理組合への申請と許可:大規模な間取り変更の場合、管理組合への申請と許可が必要です。許可が下りるまでには時間がかかることもあるため、スケジュールに余裕を持って手続きを進めることが大切です。
3. 防音対策と近隣への配慮
マンションのリノベーションでは、近隣住戸への配慮が欠かせません。特に間取り変更で床や壁を改修する場合、防音対策をしっかり行うことが重要です。
床材の選定:防音性能の高い床材を選び、遮音マットなどを使用して防音対策を強化します。
工事中の騒音:施工中の騒音や振動は、近隣住民に迷惑をかける可能性があります。工事時間帯や工法に注意し、管理組合や近隣住民に事前に告知することでトラブルを防ぎましょう。
4. 自然光と通風の確保
間取りを変更する際、自然光の取り入れ方や通風の確保も重要な要素です。暗くて風通しの悪い部屋ができないように注意します。
窓の位置とサイズ:新しい間取りで窓がふさがれないように配置を考慮し、必要に応じて採光窓や通風窓の設置を検討します。
部屋の配置:リビングやダイニングなど、人が多く過ごす空間は、できるだけ自然光を取り入れやすい場所に配置すると良いでしょう。
5. 耐震性の確保
間取りの変更が耐震性に影響を与えないようにすることも重要です。耐震補強が必要な場合は、専門家の意見を取り入れて、適切な補強工事を行います。
構造計算の確認:構造計算を行い、間取り変更が建物の耐震性能にどのように影響するかを確認しましょう。
耐震壁の活用:リノベーション時に耐震性を強化するための耐震壁や補強材の設置を検討します。
6. バリアフリーへの対応
将来のことを考慮し、バリアフリー設計を取り入れるのも良いアイデアです。高齢者や障害者が使いやすい空間設計を意識しましょう。
段差の解消:床の段差を解消し、バリアフリー仕様にすることで安全性を高めます。
ドアの幅の確保:車椅子が通れるように、ドア幅を広くする設計を考えましょう。
7. 専門家との相談と連携
間取りの変更は、技術的な知識や経験が必要です。一級建築士と相談しながら進めることで、安全で快適な空間を実現できます。
一級建築士の起用:専門家のアドバイスを受けながら、設計や素材の選定を行いましょう。
施工業者の選定:信頼できる施工業者を選び、間取り変更の経験が豊富な業者に依頼することが望ましいです。
マンションの間取りをリノベーションで変更する際は、構造上の制約や管理規約、近隣への配慮など、さまざまな要素を慎重に考慮する必要があります。計画的に進め、専門家の助言を得ながら適切な対策を講じることで、理想的な住まいを実現できるでしょう。
マンションリノベーションで風通しを良くする方法
マンションのリノベーションで風通しを良くすることは、室内環境の快適性を向上させるために非常に重要です。適切な換気は、室内の湿度を調整し、カビやダニの発生を防ぐだけでなく、住人の健康にも良い影響を与えます。以下に、マンションのリノベーションで風通しを改善するための具体的な方法を詳しく説明します。
1. 間取りの工夫
間取りを変更することで風の流れを良くすることが可能です。特に、窓の位置やドアの配置を工夫することで、風通しが改善されます。
対角線上に窓を設ける:風は直線的に通り抜ける性質があるため、対角線上に窓を設けることで風が効率的に通過します。リビングルームやダイニングルームで、向かい合う壁に窓を設置すると、自然な換気が促進されます。
引き戸の活用:ドアを引き戸に変更することで、開口部が広く取れるようになります。これにより、風がより自由に流れることができます。特に、リビングや廊下などの主要な通路に引き戸を設けると効果的です。
間仕切りの工夫:完全に閉じた壁ではなく、風が通り抜けられるような間仕切り(例えば、格子やガラスパーティション)を使うことで、視線を遮りながらも風通しを良くすることができます。
2. 窓の位置とサイズの最適化
窓は風通しを良くするための重要な要素です。リノベーション時には、窓の位置やサイズを見直すことが有効です。
高窓の設置:天井近くに高窓を設けると、暖かい空気が上昇して排出され、涼しい風が下から入りやすくなります。高窓と通常の窓を組み合わせて使用すると、効率的な換気が可能になります。
ルーバー窓の導入:ルーバー窓(羽板が角度を変えられる窓)は、風の量を調節しながら通気を確保できるため、非常に効果的です。プライバシーを保ちながらも通風を確保できるため、寝室やバスルームに適しています。
窓の高さを揃える:同じ高さにある窓を複数設けることで、均一な風の流れが生まれ、室内全体に風が行き渡ります。
3. 自然換気を活用するための設計
自然換気は、風の力を利用して室内の空気を循環させる方法です。これを最大限に活用するための設計を行います。
ウィンドキャッチャーの利用:古代の建築技術であるウィンドキャッチャー(風を捕まえて室内に導く装置)を現代のマンションに取り入れることで、自然換気を効果的に利用できます。ベランダやバルコニーに設置し、風を効率的に取り込むよう設計します。
通風ダクトの設置:天井裏や壁内部に通風ダクトを設け、空気の流れを助けることも可能です。これにより、風が入りにくい部屋や中央部のスペースでも換気を促進できます。
4. バルコニーとテラスの活用
バルコニーやテラスは、風通しを良くするための有効な空間です。リノベーション時にこれらのスペースを効果的に活用することを検討しましょう。
バルコニーのレイアウト:バルコニーに開放感を持たせることで、風が室内に入りやすくなります。バルコニーに置く家具や植物の配置も考慮して、風の流れを遮らないようにします。
通風扉の設置:バルコニーと室内を仕切るドアに通風扉を設けることで、ドアを閉めたままでも風を取り込むことができます。これにより、セキュリティを保ちながら通風を確保できます。
5. 室内換気扇の設置
自然換気だけでは不十分な場合、換気扇を効果的に配置することで風通しを改善できます。
排気ファンの設置:キッチンやバスルームには既に換気扇が設置されていることが多いですが、その他の部屋にも排気ファンを設けることで、全体的な換気能力を高めることができます。
空気清浄機との併用:換気扇と空気清浄機を併用することで、室内の空気質をさらに改善し、快適な居住環境を作ることができます。
6. 植物の配置
植物は空気を浄化し、風の流れを助ける効果があります。リノベーションの際に室内やバルコニーに植物を配置することも検討してみてください。
観葉植物の利用:風通しの良い場所に観葉植物を置くことで、自然な空気の循環が促進されます。特に、葉が大きく広がるタイプの植物は、風の流れを感じやすくなります。
壁面緑化:壁に植物を植え込む壁面緑化は、室内の湿度を調整し、空気の質を向上させる効果があります。風が当たる場所に配置すると、さらに効果的です。
7. ドアや窓の位置と開閉方法の工夫
ドアや窓の開閉方法を工夫することで、風通しを良くすることができます。
ドアストッパーの使用:ドアが風で閉まらないようにストッパーを使用し、風の流れを確保します。
通風を意識した開閉:窓やドアの開閉時に、風の流れを意識して通風を確保することで、室内の空気が効率よく入れ替わります。
マンションのリノベーションで風通しを良くするためには、間取りの工夫、窓の最適化、自然換気の活用、バルコニーの利用、換気扇の設置、植物の配置など、さまざまな手法を組み合わせて実施することが効果的です。これらの改善策を取り入れることで、快適で健康的な室内環境を作り出すことができます。風通しの良い空間は、生活の質を向上させ、住む人にとって心地よい居住環境を提供します。