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執筆者の写真t-ogino

ヒートブリッジ対策の為に、鉄骨造の断熱材は発泡性ウレタンフォーム吹付で。桜と中庭の家(東京都北区)

更新日:8月23日


鉄骨の断熱はウレタンフォーム吹付

 |Photo by 桜と中庭の家| 断熱材の発泡性ウレタンフォームを、鉄骨柱・梁に吹き付けました。 鉄骨造の場合、壁材の断熱のみとする場合が多いのですが、熱が鉄を伝わるヒートブリッジという現象を起こしてしまいます。 今回、そのヒートブリッジ防止の為、鉄の大きな容量を持つ、柱・梁の外周部に発泡性の断熱材を吹きました。 黄色がかった白い発泡スチロールの様なものが、断熱材です。 その中に有る赤い点々は、20mmの針(画鋲)の様なもので、断熱材に刺す事で、設計の厚さ通りの断熱厚が確保できているか確認できます。 気持ち、厚めに断熱材、施工してくれています。


鉄骨造の断熱方法について


鉄骨造の建物で断熱を行う方法にはいくつかのアプローチがあります。以下に代表的な方法を紹介します。


  1. 内断熱:

    • グラスウールロックウールなどの断熱材を使用し、鉄骨の内部に取り付ける方法です。これにより、室内と外気との間の熱移動を抑えることができます。

    • 断熱材は壁や天井、床の内側に取り付けます。施工時には、適切な密着性と継ぎ目の処理が重要です。


  2. 外断熱:

    • 建物の外部に断熱材を取り付ける方法です。これには、外断熱パネルや断熱ボードを使用します。

    • 外断熱は、鉄骨の熱橋を防ぎ、構造体を外部の温度変化から守るのに効果的です。また、外観を保ちながら断熱性能を向上させることができます。


  3. 断熱塗料:

    • 特殊な断熱性能を持つ塗料を使用して、鉄骨の表面に塗布する方法です。塗布後に乾燥させることで、断熱層が形成されます。

    • 断熱塗料は、鉄骨の表面に直接塗布できるため、施工が比較的簡単ですが、断熱性能は他の方法に比べて低いことがあります。


  4. 断熱カバー:

    • 鉄骨の表面に取り付ける専用の断熱カバーを使用する方法です。カバーは、断熱材が組み込まれたパネルで、施工が簡単です。

    • 断熱カバーは、既存の鉄骨造建物にも適用可能で、後から断熱を追加する際に有効です。


  5. エアギャップ:

    • 鉄骨と内装材の間にエアギャップ(空気層)を設ける方法です。この空気層が断熱効果を高めます。

    • エアギャップは、断熱材と内装材の間に設けることで、熱の伝導を減少させる効果があります。


各方法にはそれぞれの利点と欠点があり、建物の用途や地域の気候条件、予算に応じて最適な方法を選択することが重要です。また、施工後は定期的なメンテナンスが必要です。


発泡性ウレタンフォームの断熱性について


今回、断熱材としてウレタンフォームを吹付ました。発泡性ウレタンフォーム(フォームウレタン)は、断熱材として非常に効果的な材料です。以下にその特性と利点について詳しく説明します。


特徴

  1. 優れた断熱性能:

    • 発泡ウレタンフォームは、低い熱伝導率を持ち、優れた断熱性能を発揮します。これは、フォーム内部の空気が断熱層として機能し、熱の移動を抑えるためです。

  2. 密閉性:

    • フォームウレタンは気密性が高く、隙間をしっかりと埋めることができます。これにより、エネルギー効率が向上し、冷暖房コストの削減に寄与します。

  3. 構造的な強度:

    • 発泡ウレタンは構造的に強化されることがあり、断熱材としてだけでなく、構造補強材としても利用されることがあります。

  4. 防湿性:

    • 発泡ウレタンフォームは防湿性に優れており、湿気による劣化やカビの発生を防ぐことができます。これにより、建物内部の環境が保たれます。

  5. 軽量性:

    • 軽量であるため、施工が比較的容易で、鉄骨造や木造の建物に取り付けやすいです。


施工方法

  1. スプレーフォーム:

    • 発泡ウレタンをスプレーガンで直接施工する方法です。施工時に発泡し、短時間で膨らんで密着するため、複雑な形状の隙間にも対応できます。

  2. パネルフォーム:

    • プレート状に成形されたウレタンフォームを、建物の壁や屋根、床などに取り付ける方法です。既存の建物に追加する際にも利用されます。


利点

  • 高い断熱性: 優れた熱絶縁効果で、冷暖房効率が大幅に向上します。

  • 優れた気密性: すき間を埋めることで、空気漏れを防ぎ、エネルギー損失を抑えます。

  • 防湿効果: 湿気を防ぎ、カビや腐食のリスクを低減します。


欠点

  • コスト: 他の断熱材に比べてコストが高いことがあります。

  • 施工時の注意: スプレー施工の場合、施工者の技術が仕上がりに影響を与えることがあります。適切な施工環境や技術が必要です。

  • 燃焼性: ウレタンフォームは燃焼性があるため、火災対策が重要です。通常は防火処理や被覆が施されます。


発泡性ウレタンフォームは、その優れた断熱性能と気密性から、住宅や商業施設の断熱に広く使用されています。ただし、施工方法や使用条件に応じて、最適な選択をすることが大切です。


ヒートブリッジという鉄骨造の弱点


ヒートブリッジ(熱橋)とは、断熱層を通じて熱が効率よく伝導する部分を指します。鉄骨造の建物では、鉄骨自体が熱を伝導しやすいため、断熱設計においてヒートブリッジの対策が重要です。


鉄骨造におけるヒートブリッジの原因

  1. 鉄骨自体の熱伝導:

    • 鉄骨は熱を良く伝導するため、鉄骨が直接外気と接触する部分は、断熱層を通じて熱が伝わりやすくなります。

  2. 接続部やジョイント:

    • 鉄骨の接続部やジョイント部分では、断熱材と鉄骨の間に隙間が生じることがあります。これが熱橋を生じさせる原因となります。

  3. 取り付け部品や固定具:

    • 鉄骨に取り付ける部品や固定具(ボルト、ナットなど)が断熱層を貫通する場合、そこでも熱橋が生じることがあります。


ヒートブリッジの影響

  1. エネルギー損失:

    • ヒートブリッジによって熱が外部に逃げたり、外部から熱が入り込んだりするため、冷暖房の効率が低下します。

  2. 結露の発生:

    • 熱が伝導することで、鉄骨表面の温度が低くなり、結露が発生する可能性があります。これにより、カビや腐食の原因となることがあります。

  3. 断熱性能の低下:

    • ヒートブリッジが断熱層全体の性能を低下させ、建物全体のエネルギー効率に影響を及ぼします。


ヒートブリッジの対策方法

  1. 断熱材の厚みの増加:

    • 鉄骨の周りに適切な厚さの断熱材を施すことで、熱橋の影響を最小限に抑えることができます。

  2. 断熱材の取り付け方法の工夫:

    • 断熱材の取り付け時に、鉄骨と断熱材の接触部分を丁寧に処理し、隙間を最小限に抑えることが重要です。

  3. 熱伝導を抑える部品の使用:

    • 断熱性能を持つ部品や取り付け具を使用することで、ヒートブリッジの発生を抑えることができます。

  4. サーマルブレーカーの使用:

    • サーマルブレーカー(熱絶縁材を使った部品)を鉄骨と取り付け部品の間に挟むことで、熱橋を防ぐことができます。

  5. 設計段階での配慮:

    • 設計段階で鉄骨の配置や取り付け部品の位置を工夫し、ヒートブリッジが生じにくい構造を考慮することが重要です。


鉄骨造の建物では、ヒートブリッジによる熱損失や断熱性能の低下を防ぐために、適切な断熱設計と施工が必要です。断熱材の適切な選定と施工方法、そしてヒートブリッジを防ぐための設計的配慮が、エネルギー効率の向上と快適な室内環境の維持に寄与します。



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