|Photo by 桜と中庭の家| 断熱材の発泡性ウレタンフォームを、鉄骨柱・梁に吹き付けました。 鉄骨造の場合、壁材の断熱のみとする場合が多いのですが、熱が鉄を伝わるヒートブリッジという現象を起こしてしまいます。 今回、そのヒートブリッジ防止の為、鉄の大きな容量を持つ、柱・梁の外周部に発泡性の断熱材を吹きました。 黄色がかった白い発泡スチロールの様なものが、断熱材です。 その中に有る赤い点々は、20mmの針(画鋲)の様なもので、断熱材に刺す事で、設計の厚さ通りの断熱厚が確保できているか確認できます。 気持ち、厚めに断熱材、施工してくれています。
鉄骨造の断熱方法について
鉄骨造の建物で断熱を行う方法にはいくつかのアプローチがあります。以下に代表的な方法を紹介します。
内断熱:
グラスウールやロックウールなどの断熱材を使用し、鉄骨の内部に取り付ける方法です。これにより、室内と外気との間の熱移動を抑えることができます。
断熱材は壁や天井、床の内側に取り付けます。施工時には、適切な密着性と継ぎ目の処理が重要です。
外断熱:
建物の外部に断熱材を取り付ける方法です。これには、外断熱パネルや断熱ボードを使用します。
外断熱は、鉄骨の熱橋を防ぎ、構造体を外部の温度変化から守るのに効果的です。また、外観を保ちながら断熱性能を向上させることができます。
断熱塗料:
特殊な断熱性能を持つ塗料を使用して、鉄骨の表面に塗布する方法です。塗布後に乾燥させることで、断熱層が形成されます。
断熱塗料は、鉄骨の表面に直接塗布できるため、施工が比較的簡単ですが、断熱性能は他の方法に比べて低いことがあります。
断熱カバー:
鉄骨の表面に取り付ける専用の断熱カバーを使用する方法です。カバーは、断熱材が組み込まれたパネルで、施工が簡単です。
断熱カバーは、既存の鉄骨造建物にも適用可能で、後から断熱を追加する際に有効です。
エアギャップ:
鉄骨と内装材の間にエアギャップ(空気層)を設ける方法です。この空気層が断熱効果を高めます。
エアギャップは、断熱材と内装材の間に設けることで、熱の伝導を減少させる効果があります。
各方法にはそれぞれの利点と欠点があり、建物の用途や地域の気候条件、予算に応じて最適な方法を選択することが重要です。また、施工後は定期的なメンテナンスが必要です。
発泡性ウレタンフォームの断熱性について
今回、断熱材としてウレタンフォームを吹付ました。発泡性ウレタンフォーム(フォームウレタン)は、断熱材として非常に効果的な材料です。以下にその特性と利点について詳しく説明します。
特徴
優れた断熱性能:
発泡ウレタンフォームは、低い熱伝導率を持ち、優れた断熱性能を発揮します。これは、フォーム内部の空気が断熱層として機能し、熱の移動を抑えるためです。
密閉性:
フォームウレタンは気密性が高く、隙間をしっかりと埋めることができます。これにより、エネルギー効率が向上し、冷暖房コストの削減に寄与します。
構造的な強度:
発泡ウレタンは構造的に強化されることがあり、断熱材としてだけでなく、構造補強材としても利用されることがあります。
防湿性:
発泡ウレタンフォームは防湿性に優れており、湿気による劣化やカビの発生を防ぐことができます。これにより、建物内部の環境が保たれます。
軽量性:
軽量であるため、施工が比較的容易で、鉄骨造や木造の建物に取り付けやすいです。
施工方法
スプレーフォーム:
発泡ウレタンをスプレーガンで直接施工する方法です。施工時に発泡し、短時間で膨らんで密着するため、複雑な形状の隙間にも対応できます。
パネルフォーム:
プレート状に成形されたウレタンフォームを、建物の壁や屋根、床などに取り付ける方法です。既存の建物に追加する際にも利用されます。
利点
高い断熱性: 優れた熱絶縁効果で、冷暖房効率が大幅に向上します。
優れた気密性: すき間を埋めることで、空気漏れを防ぎ、エネルギー損失を抑えます。
防湿効果: 湿気を防ぎ、カビや腐食のリスクを低減します。
欠点
コスト: 他の断熱材に比べてコストが高いことがあります。
施工時の注意: スプレー施工の場合、施工者の技術が仕上がりに影響を与えることがあります。適切な施工環境や技術が必要です。
燃焼性: ウレタンフォームは燃焼性があるため、火災対策が重要です。通常は防火処理や被覆が施されます。
発泡性ウレタンフォームは、その優れた断熱性能と気密性から、住宅や商業施設の断熱に広く使用されています。ただし、施工方法や使用条件に応じて、最適な選択をすることが大切です。
ヒートブリッジという鉄骨造の弱点
ヒートブリッジ(熱橋)とは、断熱層を通じて熱が効率よく伝導する部分を指します。鉄骨造の建物では、鉄骨自体が熱を伝導しやすいため、断熱設計においてヒートブリッジの対策が重要です。
鉄骨造におけるヒートブリッジの原因
鉄骨自体の熱伝導:
鉄骨は熱を良く伝導するため、鉄骨が直接外気と接触する部分は、断熱層を通じて熱が伝わりやすくなります。
接続部やジョイント:
鉄骨の接続部やジョイント部分では、断熱材と鉄骨の間に隙間が生じることがあります。これが熱橋を生じさせる原因となります。
取り付け部品や固定具:
鉄骨に取り付ける部品や固定具(ボルト、ナットなど)が断熱層を貫通する場合、そこでも熱橋が生じることがあります。
ヒートブリッジの影響
エネルギー損失:
ヒートブリッジによって熱が外部に逃げたり、外部から熱が入り込んだりするため、冷暖房の効率が低下します。
結露の発生:
熱が伝導することで、鉄骨表面の温度が低くなり、結露が発生する可能性があります。これにより、カビや腐食の原因となることがあります。
断熱性能の低下:
ヒートブリッジが断熱層全体の性能を低下させ、建物全体のエネルギー効率に影響を及ぼします。
ヒートブリッジの対策方法
断熱材の厚みの増加:
鉄骨の周りに適切な厚さの断熱材を施すことで、熱橋の影響を最小限に抑えることができます。
断熱材の取り付け方法の工夫:
断熱材の取り付け時に、鉄骨と断熱材の接触部分を丁寧に処理し、隙間を最小限に抑えることが重要です。
熱伝導を抑える部品の使用:
断熱性能を持つ部品や取り付け具を使用することで、ヒートブリッジの発生を抑えることができます。
サーマルブレーカーの使用:
サーマルブレーカー(熱絶縁材を使った部品)を鉄骨と取り付け部品の間に挟むことで、熱橋を防ぐことができます。
設計段階での配慮:
設計段階で鉄骨の配置や取り付け部品の位置を工夫し、ヒートブリッジが生じにくい構造を考慮することが重要です。
鉄骨造の建物では、ヒートブリッジによる熱損失や断熱性能の低下を防ぐために、適切な断熱設計と施工が必要です。断熱材の適切な選定と施工方法、そしてヒートブリッジを防ぐための設計的配慮が、エネルギー効率の向上と快適な室内環境の維持に寄与します。
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