雪印乳業前・レジデンスは修景プロジェクトでもあります。
修景とは、景観を修復する事で、周辺空間のデザインを環境との調和を図りながらredesignすることによって、景観を整える事です。
雪印乳業前・レジデンスは歴史ある下町の地域でありながら火災の多い密集地の為、防火地域指定された街にあります。元々、歴史を感じさせる雰囲気のある木造の民家・商家が建っていました。一般的な民家であり伝統文化財では無い事もあり、防火地域指定をされ方範囲の地域が防火性の高い建物(コンクリート造や鉄骨造)に変わってしまい、風景がガラッと変わってしまった場所です。
鉄骨でつくる雪印乳業前・レジデンスですが、町屋の景観を模し、格子の壁・平入の片入母屋屋根とし、歴史を継承した外観の住まいにしています。近接・隣接地にはわずかに古い木造建築が残っており、その古い姿に呼応し、周辺環境を歴史を感じさせるな景観に修復する修景を試みます。
住まいは、周辺の環境が内部空間に及ぼす影響をメインに考えて設計するものではありますが、このプロジェクトでは、住まいの建物が周囲に及ぼす影響を積極的にとらえ、この住まいが出来る事で周囲の環境が修景され整えられる、プロジェクトの提案をしました。
街の歴史的な環境の記憶を残したいという施主の想いに答えた提案です。
まず、施主の幸せな生活を支える事を考えて設計をしていますが、周辺の環境も含めて提案できる社会的意義のあるプロジェクトです。
歴史を感じさせる景観に修復し、修景すると、波及して街並みが変わっていく切っ掛けになると素敵です。
修景とは何
「修景」(しゅうけい)とは、主に景観を美しく整えることを指します。都市計画や環境デザイン、造園などの分野でよく使われる用語です。「修景」の目的は、自然景観や人工的な景観を改善し、より魅力的で心地よい環境を作り出すことです。
修景の具体的な内容
植栽の設計と管理修景には、適切な植物の選定と配置が含まれます。例えば、都市の公園や庭園で季節ごとの花や樹木を配置し、視覚的に美しい景観を作り出します。また、風や音を防ぐために植物を使うこともあります。
建築物や構造物の調和修景の一環として、建築物のデザインや配置が周囲の自然環境と調和するように設計されます。たとえば、建物の外観が周囲の景観とマッチするように素材や色を選ぶことがあります。
道路や街並みのデザイン歩道や車道、公園、広場などの公共空間も修景の対象となります。これには、街路樹の配置や、ベンチ、街灯、サインなどの配置が含まれます。これにより、都市空間がより快適で安全な場所となります。
水景や照明の利用修景では、水景(噴水、池、川など)や照明も重要な要素です。水の音や光の効果を利用して、視覚的な魅力を高めたり、リラックスした雰囲気を作り出すことができます。
景観保護と再生歴史的な建物や自然の景観を保護し、修復することも修景の一部です。これにより、文化的価値や自然環境が後世に引き継がれます。
修景の重要性
修景は、都市の美観や居住環境の質を高めるために非常に重要です。美しい景観は住民の生活の質を向上させるだけでなく、観光客を引き付ける要素にもなります。また、自然環境との調和を考慮することで、エコロジカルな都市開発を促進する役割も果たします。
都市計画や建築設計、造園のプロジェクトにおいては、修景の専門家が関与することが一般的です。これにより、長期的に持続可能で美しい景観を維持することが可能になります。
修景について理解を深めることで、私たちの生活空間をより魅力的で快適なものにするための方法を見つける手助けとなるでしょう。
街のリデザインとは
「建築を含めた街のリデザイン」とは、既存の都市空間や街並みを再設計し、改善することを指します。これには、建物、インフラ、公共スペース、ランドスケープ、交通システムなど、都市のさまざまな要素が含まれます。リデザインの目的は、都市の美観、機能性、安全性、持続可能性を向上させ、住民や訪問者にとってより魅力的で快適な環境を提供することです。
街のリデザインの主な要素
建築デザインの改善古い建物や劣化した建物を改修・リノベーションし、現代的でエネルギー効率の高いデザインにすることが含まれます。また、新しい建物を建てる場合には、周囲の景観や街並みに調和するようなデザインが求められます。例えば、歴史的な街並みを保護しつつ、現代的な機能を追加するようなアプローチが取られます。
公共スペースのリデザイン公園、広場、歩道などの公共スペースを改修して、住民が利用しやすく、快適に過ごせる空間を提供することが重要です。これには、緑地の増設、ベンチや照明の設置、遊具の追加などが含まれます。また、アートの導入やイベントスペースの設置など、文化活動を支援する要素も考慮されます。
交通システムの改善歩行者や自転車利用者に優しい交通システムを導入することも、街のリデザインの重要な要素です。車両交通を減らし、自転車道や歩道を整備することで、都市の移動が安全かつ快適になります。また、公共交通機関のアクセスを改善し、持続可能な移動手段を促進する取り組みも含まれます。
持続可能性とエコデザイン街のリデザインでは、環境に配慮した設計が重視されます。これは、エネルギー効率の高い建築技術の導入、再生可能エネルギーの利用、雨水の利用、緑化の推進などが含まれます。これにより、都市の炭素排出量を削減し、自然環境との共生が図られます。
スマートシティ技術の導入最新のテクノロジーを活用して、都市の管理やサービスを効率化することもリデザインの一環です。スマートシティ技術には、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ解析、AIによる都市管理などが含まれます。これにより、交通渋滞の緩和、防犯対策の強化、エネルギー管理の最適化が可能になります。
街のリデザインの目的と効果
住みやすさの向上街のリデザインは、居住者の生活の質を向上させることを目的としています。より快適で安全な住環境、豊かな自然、便利なインフラが整うことで、住民の満足度が向上します。
経済的な活性化魅力的な街並みは観光客を引きつけ、地元経済の活性化に寄与します。さらに、商業エリアの改善はビジネスの成長を促し、雇用の創出につながります。
環境保護持続可能な設計と環境配慮型のインフラを導入することで、都市の環境負荷を軽減し、将来的な気候変動の影響に対する耐性を高めます。
社会的なつながりの強化公共スペースやコミュニティ施設の改善により、住民同士の交流が促進され、地域コミュニティの絆が強まります。
実際のリデザイン事例
横浜みなとみらい21: 港湾エリアの再開発プロジェクトで、商業施設、オフィス、文化施設、居住エリアが整備され、観光とビジネスの拠点として人気があります。
東京丸の内エリア: 歴史的建築物と最新のオフィスビルが調和したエリアで、再開発によってビジネスと観光のハブとしての機能が強化されています。
街のリデザインは、単なる美観の改善にとどまらず、社会、経済、環境のすべてにおいて都市の持続可能な発展を目指す重要なプロセスです。
歴史的な環境の記憶を残した、建築の設計
街の歴史的な環境の記憶を残した建築の設計とは、古い建物や街並みの歴史的・文化的価値を保ちながら、現代の機能性や快適性を取り入れることを目指した建築の設計手法です。これは、単に古いものを保存するだけでなく、歴史的文脈を尊重しつつ、現代的な用途に適応させることで、新旧の融合を図るアプローチです。以下にその具体的な方法や考え方について詳しく説明します。
歴史的環境の記憶を残した建築設計の方法
歴史的な要素の保存と修復重要な建築物やその一部(ファサード、内部の装飾、屋根の形状など)を修復し、元の姿をできる限り忠実に再現することが基本です。これには、歴史的建築材料や伝統的な技術を使用することも含まれます。たとえば、古いレンガ造りの建物のファサードをそのまま残し、内部を現代の機能に合わせて改装するケースが一般的です。
新旧の調和歴史的な建物に現代的な要素を加える際には、新旧のデザインが調和するように設計することが重要です。これには、色調や素材選び、建物のスケール感の調整が含まれます。例えば、ガラスや金属などの現代的な素材を使いながらも、周囲の歴史的環境と調和するようなデザインにすることで、新しい要素が浮きすぎないようにします。
用途の変換(アダプティブ・リユース)歴史的建築物の元の用途が現代のニーズに合わない場合、新しい用途に転用することも一般的です。これを「アダプティブ・リユース」と呼びます。例えば、旧工場をギャラリーやレストランに改装したり、歴史的な住宅をブティックホテルに改装することで、建物の保存と経済的価値の両立を図ることができます。
文化的コンテクストの尊重建築デザインにおいては、その地域の歴史や文化を理解し、それを尊重することが重要です。これには、地元の建築様式や伝統的な工法を取り入れることが含まれます。例えば、京都の町家を改修する際には、伝統的な日本建築の要素を残しつつ、現代の住環境に合わせた改修が行われます。
景観全体の調和単一の建物だけでなく、街全体の景観や歴史的な軸線、視点場(ビュー・ポイント)を考慮した設計が求められます。これにより、個々の建物が街並みに調和し、全体として統一感のある歴史的景観を維持することができます。
歴史的環境の記憶を残す設計の事例
東京駅丸の内駅舎東京駅の丸の内側の駅舎は、1914年に辰野金吾の設計で完成しました。その後、戦争による被害や経年劣化を経て、2007年から2012年にかけて修復工事が行われました。この修復では、戦前のオリジナルデザインに基づき、赤レンガの外壁やドーム型の屋根などが再現されましたが、現代の耐震基準や快適性も考慮されました。
神戸北野異人館街明治時代に建てられた外国人居留地の住宅が並ぶ北野異人館街は、観光地としても有名です。これらの建物は、オリジナルの形状や装飾が保存されており、内部も改装されて観光客に公開されています。一部の異人館は、レストランやカフェ、ミュージアムとして使用され、地域経済の活性化にも寄与しています。
京都・町家のリノベーション京都市内には、伝統的な町家が数多く残っています。これらの建物は、木造であるため経年劣化が進んでいますが、近年では町家をリノベーションしてゲストハウスやカフェ、店舗として活用する事例が増えています。町家の特徴である格子や内装の美しさを活かしつつ、現代的な快適さを取り入れることで、歴史と現代が共存する空間が生まれています。
歴史的記憶を残す建築設計の意義
文化遺産の保護歴史的建物や街並みは、その地域の歴史と文化を象徴するものであり、次世代に伝えるべき重要な遺産です。これを保存・活用することで、文化的アイデンティティの継承が可能になります。
観光資源の活用歴史的な環境を持つ街並みや建物は、観光客にとって魅力的な訪問先となります。観光資源としての価値を高めるためにも、歴史的環境の記憶を残した設計が求められます。
地域経済の活性化歴史的建物を活用することで、新たなビジネスチャンスが生まれ、地域の経済が活性化します。リノベーションによって生まれた新しい用途の空間は、新たな雇用の創出や地域の活性化につながります。
歴史的な環境の記憶を残した建築の設計は、単に過去を保存するだけでなく、未来への資産として地域社会全体に恩恵をもたらします。このような設計アプローチは、持続可能な都市開発の一環としても重要です。
街の環境、景観に配慮したレジデンスとは
街の環境や景観に配慮したレジデンス(住宅)は、周囲の自然環境や都市の景観と調和し、住民の生活の質を向上させることを目的とした住宅設計の考え方です。これには、環境にやさしい建築技術の導入、地域の歴史や文化を尊重したデザイン、持続可能な生活スタイルの実現が含まれます。以下に、街の環境・景観に配慮したレジデンスの具体的な特徴や設計手法について詳しく説明します。
環境・景観に配慮したレジデンスの特徴
周囲の景観との調和レジデンスのデザインは、周辺の街並みや自然景観と調和するように設計されます。建物の高さや形状、色彩、外装材の選定などが、周囲の建築物や自然環境と統一感を持つように工夫されます。たとえば、伝統的な町並みが残る地域では、現代的な住宅も和風のデザイン要素を取り入れることが一般的です。
緑化と自然環境の保全レジデンスの敷地内には庭や植栽スペースが設けられ、緑化が促進されます。これは、都市部においても自然を感じられる環境を提供し、住民のリラクゼーションや生態系の維持に寄与します。また、屋上緑化や壁面緑化など、建物自体を緑化する取り組みも見られます。これにより、都市のヒートアイランド現象の緩和や空気の浄化効果も期待できます。
エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用環境に配慮したレジデンスは、省エネルギー性能の高い建築設計を採用します。高断熱・高気密な建材の使用、自然光の有効活用、通風の工夫などにより、エネルギー消費を抑えます。また、太陽光発電や地熱エネルギーなどの再生可能エネルギーを活用することで、持続可能な生活を支援します。
水資源の管理雨水の回収システムを設けて、庭の灌水やトイレの洗浄水として利用するなど、水資源の効率的な管理が行われます。これにより、自然環境への負荷を減らし、水の有効利用を図ることができます。
地域の文化や歴史の尊重建物のデザインや素材の選定において、地域の伝統的な建築様式や文化を尊重することが求められます。これにより、住民が地域との一体感を感じられるだけでなく、観光資源としての価値も高まります。たとえば、地元産の木材や伝統工芸品を用いた内装などが考えられます。
持続可能な生活スタイルの促進環境・景観に配慮したレジデンスは、持続可能な生活を実践するための設備や仕組みを提供します。たとえば、共有のコミュニティガーデンや、リサイクル施設、エコカーシェアリングの導入など、住民が環境にやさしい生活を送りやすい環境が整えられます。
環境・景観に配慮したレジデンスの設計手法
パッシブデザインパッシブデザインは、自然エネルギーを最大限に活用する設計手法です。たとえば、南向きの窓を大きく取ることで、冬の暖房効率を高め、夏には庇やブラインドで直射日光を遮り、涼しく過ごすことができます。また、建物の配置や形状を工夫して、自然な通風を促進し、冷房の使用を減らすことも可能です。
低環境負荷の建材使用環境への影響を考慮した建材選びも重要です。再生可能な資源やリサイクル可能な材料、環境負荷の少ない塗料や仕上げ材が使用されます。木材などの自然素材を使用することで、温かみのある空間を提供するとともに、二酸化炭素の吸収効果も期待できます。
コミュニティとの共生環境・景観に配慮したレジデンスでは、住民同士のコミュニケーションや地域とのつながりが重視されます。共有スペースやコミュニティ施設の設置、地域イベントへの参加などを通じて、住民が協力し合いながら暮らす環境が整えられます。
建物の長寿命化建物の耐久性を高めることで、長期間にわたって利用できるレジデンスを目指します。これには、耐震性能の向上や定期的なメンテナンスが容易な設計が含まれます。建物の長寿命化は、資源の無駄を減らし、環境負荷の軽減にもつながります。
実際の事例
代官山T-SITE(東京)東京・代官山にあるT-SITEは、周囲の緑豊かな環境と調和した建築デザインが特徴です。低層の建物配置と豊かな植栽により、都市の中で自然を感じられる空間が作り出されています。また、外壁には伝統的な和紙の模様がデザインされており、日本文化との調和も図られています。
歌舞伎座タワー(東京)歴史的な建物である歌舞伎座の建て替えに際して、新たに建てられた歌舞伎座タワーは、伝統と現代が融合したデザインです。歌舞伎座の伝統的な屋根を残しつつ、オフィスビルとしての機能性を持たせた設計が特徴です。これにより、歴史的な街並みの一部としての役割を果たしながら、現代のビジネスニーズにも応えています。
セントラルパークレジデンス(横浜)横浜市の都市再生エリアに位置するこのレジデンスは、広大な中央公園に隣接しており、緑豊かな景観が特徴です。建物の設計には、自然光を取り入れる大きな窓や、エコフレンドリーな素材が使用されており、持続可能な都市生活を実現しています。
環境・景観に配慮したレジデンスの意義
住民の生活の質向上自然に囲まれた環境や快適な住空間は、住民の健康や精神的な安定に寄与します。快適で安全な生活環境を提供することは、都市の魅力を高める重要な要素です。
環境保護と持続可能な開発環境に配慮した設計は、都市全体の持続可能な発展に寄与します。エネルギー効率の高い建築や自然環境の保護は、都市の二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化の緩和に役立ちます。
地域社会とのつながりの強化コミュニティスペースや地域イベントを通じて、住民同士のつながりが強まり、地域社会全体の活性化が図られます。これにより、都市における社会的な孤立感の軽減や、地域の防災力向上にも寄与します。
街の環境や景観に配慮したレジデンスは、単なる住まいとしての機能を超えて、持続可能な都市生活を支え、地域社会全体の発展を促進する重要な役割を果たします。
住まいの設計・計画の解説
→収納計画
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