余白(空間)と余韻(時)をどうつくるのか?
建築設計をする時に、考えている事のひとつです。
余白があると、空間にも、生活にも、行動にも余裕が生まれます。
リノベーションして天井を外し、小屋裏を開けた、この、「ウロコ壁のリノベーションアパートメント」の天井高さは、最も高いところで、4.2m 有ります。
吹き抜け部分に機能は無い、余白で、開放感を持ちます。
窓際の凹んだ平面は、アルコーブというちょっとした余白の空間で、何も使わなくても良いし、ソファーなどを置いて、普段使わないでもちょっとした居場所にしても良い。
こんな、余白が生活の余裕に繋がります。
看護小規模多機能居宅介護の伊勢原「かんたき」では、
余韻(時)のある空間を、設計することができました。
余白(空間)と余韻(時)がある建築は、空間の質感が良くなると考えですいます。
今日は、余韻について。
建築における余韻とは、場の中に時間を感じる 事。
伊勢原 「かんたき」では、光が、朝から夜まで、色々な方角から入り
刻々と時の移ろいを自然光で感じられます。
吹き抜けから二階の窓を通して、映し出される樹木は、 季節 によって新緑から
落葉へと姿を変え季節の変化を感じます。
時を感じる事は、人の感覚を呼び覚まし、自らを振り返り、想いにふける、そんな余韻を味わう場所になっているはずです。
余白とは
「余白」という言葉は、デザインやレイアウトにおいて、主に以下の2つの意味で使われます。
視覚的余白: デザインやレイアウトの中で、要素(テキストや画像など)とその周囲の空間のことを指します。視覚的余白は、情報が詰まりすぎず、読みやすさや見た目のバランスを保つために重要です。余白が適切にあると、デザインがすっきりとし、視覚的に心地よくなります。
機能的余白: 物理的なスペースにおいて、建物や部屋のデザインで使われる余裕のことです。たとえば、部屋のレイアウトにおける「余白」は、家具やその他の要素の配置において重要で、動線や使いやすさを考慮して空けておく部分です。また、建物の外観における余白(例えば、庭や通路のスペース)も、全体のバランスや機能性を考える際に重要です。
どちらの場合でも、「余白」は、全体の調和や快適さを作り出すための重要な要素です。
余韻とは
「余韻」という言葉は、主に以下の意味で使われます:
音楽や演劇、文学における余韻:
音楽: 演奏や曲の終わりに残る感覚や印象です。例えば、楽曲が終わった後に感じる音の残響や、心に残るメロディーや和音の余韻です。
演劇: 舞台や演技が終わった後に観客に残る感情や印象。演技が終わった後も観客の心に残る感覚を指します。
文学: 詩や小説の最後に残る意味や感情の余韻。読後に感じる深い感情や考えさせられる要素です。
一般的な使い方:
ある出来事や体験が終わった後に残る感覚や影響。例えば、特別な体験や感動的な出来事が心に残り、しばらくその影響を感じることを「余韻」と呼ぶことがあります。
要するに、「余韻」は何かが終わった後に残る感覚や印象で、心に残る感情や考えを指します。
余白と余韻があることで、心地よく暮らせる住まい
余白と余韻を考慮することで、心地よく暮らせる住まいの設計が可能です。それぞれの要素がどのように住まいに影響を与えるか、具体的な方法を見てみましょう。
1. 余白を活用した設計
1.1. 空間の余白
レイアウト: 部屋やスペースの配置において、適度な余白を確保することで、視覚的に快適な空間を作ります。例えば、家具と壁の間に十分な距離を設けることで、動線がスムーズになり、部屋が広く感じられます。
収納: 整理整頓された空間を保つために、適切な収納スペースを設けることで、余計なものが視界に入らず、落ち着いた環境が作れます。
1.2. 機能的余白
動線: 部屋の使い方を考慮し、移動しやすいレイアウトを心がけることで、生活のストレスを減らします。例えば、キッチンやリビングの動線を考慮し、使いやすい配置にすることが重要です。
空間の緩衝帯: プライバシーを保つために、部屋ごとに適切なスペースを確保し、リビング、寝室、作業スペースなどの間に緩衝帯を設けることで、居心地の良さが増します。
1.3. 視覚的余白
色と素材: 明るい色や軽やかな素材を使うことで、空間が広く感じられるようにします。例えば、白や淡い色の壁、軽やかなカーテンなどが効果的です。
シンプルなデザイン: 過剰な装飾を避け、シンプルでクリーンなデザインにすることで、視覚的に心地よい空間を作れます。
2. 余韻を生む設計
2.1. 感情的な余韻
素材と質感: 高品質な素材や手触りの良い仕上げを使うことで、触れるたびに心地よさを感じられます。例えば、木材や天然素材を使った家具や床材が挙げられます。
照明: 暖かい色温度の照明を使うことで、リラックスできる空間を作り、住まいの雰囲気に余韻を加えることができます。
2.2. 視覚的な余韻
アートと装飾: 絵画や写真など、視覚的に引き込まれる要素を取り入れることで、空間に個性を与え、訪れた人や住人に印象を残すことができます。
風景や眺望: 窓からの景色や外部とのつながりを大切にすることで、自然の美しさや開放感を楽しむことができ、心に残る余韻を生むことができます。
2.3. 経年変化
耐久性: 経年変化を楽しむために、時間と共に味わいが増す素材やデザインを選ぶことで、長く使うほどに愛着が湧く住まいを作ります。例えば、木材の床やアンティーク調の家具などが考えられます。
総合的に考えるポイント
調和とバランス: 余白と余韻を意識しながら、全体のバランスを取ることが重要です。空間に余裕を持たせつつ、感情的に満足できるようなデザインを目指します。
住人のライフスタイル: 住人のライフスタイルに合わせて、必要な機能性と快適さを両立させることが大切です。余白と余韻を取り入れた設計が、住人の生活にどう貢献するかを考慮しましょう。
これらの要素を取り入れることで、快適で心地よい住まいを作ることができます。
アルコーブとは
「アルコーブ」とは、建物や部屋の中で一部が少し引っ込んでいる部分や、くぼんでいるスペースのことを指します。具体的には、以下のような状況で使われます:
1. 建築用語としてのアルコーブ
壁のくぼみ: 一般的には、壁の一部が奥に引っ込んでいる部分で、主に装飾や機能的な目的で作られます。例えば、壁に設けられたニッチ(棚やディスプレイ用のくぼみ)がアルコーブに該当します。
建物の一部: 建物の外壁に設けられることもあり、例えばバルコニーや出入り口の周りにくぼんだ部分がアルコーブと呼ばれます。
2. 住まいの設計でのアルコーブ
収納スペース: 部屋の隅や壁面に設けられるくぼみで、本や装飾品を置く棚として利用されることがあります。
リラクゼーションエリア: 窓際や壁のくぼんだ部分にクッションや椅子を置いて、リラックスできる小さなスペースを作ることができます。これにより、空間の有効活用や視覚的なアクセントになります。
3. デザイン上の利点
空間の有効活用: アルコーブを作ることで、部屋のスペースを有効に使い、収納や展示の場所を確保できます。
デザイン的なアクセント: アルコーブは、建物の外観や内部のデザインに深みやアクセントを加えることができます。
4. 具体例
リビングのアルコーブ: リビングルームの一角に設けられるアルコーブは、読書や休息のための小さなスペースになることが多いです。窓際に作ることで、外の景色を楽しむ場所にもなります。
エントランスのアルコーブ: エントランスに設けられるくぼみは、装飾的な要素や飾り棚として使われることがあります。
アルコーブは、空間に工夫を加えるための便利な要素で、機能的かつデザイン的に幅広く活用されます。
吹抜けを余白として効果的に使う
吹抜けを余白として効果的に使うための建築設計の方法には、以下のような考慮点やアプローチがあります。吹抜けは、空間に開放感をもたらし、視覚的にも圧倒的な広がりを作ることができるため、設計の際にはその特徴を最大限に活かすことが重要です。
1. 吹抜けの機能的な利用
1.1. 空間の広がりを演出
視覚的な余白: 吹抜けを活用することで、上方向の視覚的な広がりを作り、部屋全体が広く感じられるようにします。大きな窓や天井の高さを活かして、空間に余裕を持たせます。
階層の連続性: 吹抜けを使って、階層間の視覚的なつながりを作ることができます。例えば、リビングから2階のギャラリーやバルコニーを見渡せるようにすることで、空間に奥行きと連続性をもたらします。
1.2. 収納と機能の統合
収納スペースの設計: 吹抜けの周りや上部に収納スペースを設けることで、空間の有効活用ができます。例えば、吹抜けの上部に壁一面を利用した書棚や収納棚を設けることで、収納スペースを確保しつつデザインの一部として組み込みます。
ハンモックや吊り棚: 吹抜けの空間を利用して、吊り下げ式のハンモックや吊り棚を取り入れることで、遊び心のあるリラクゼーションスペースを作ることもできます。
2. 吹抜けのデザインと感覚的な余白
2.1. 光と風の取り入れ
自然光の導入: 吹抜けを使って、天窓や大きな窓から自然光を取り入れることで、空間を明るくし、心地よい環境を作ります。自然光は空間に開放感をもたらし、視覚的な余白を強調します。
通風と換気: 吹抜けを通じて、自然な通風を促進することで、空気の流れが良くなり、居住空間の快適性が向上します。風通しの良い空間は、心地よさを感じやすくなります。
2.2. 反響音の配慮
音響デザイン: 吹抜けが音の反響を引き起こすことがあるため、音響を考慮した設計が重要です。吸音材やデザインの工夫で、音の反響を軽減し、快適な居住環境を保つようにします。
2.3. 視覚的なアクセント
装飾的要素: 吹抜け部分にアートや装飾を加えることで、視覚的に興味を引くスペースを作ります。例えば、大きなシャンデリアや吊るしのアート作品が吹抜けの中心に配置されると、空間に特別な雰囲気を加えることができます。
緑の活用: 吹抜けの空間に観葉植物や垂れ下がるプランターを配置することで、自然の要素を取り入れ、リラックスできる環境を作り出します。
3. 吹抜けを通じたコミュニケーション
3.1. 家族や住人のつながり
視覚的な交流: 吹抜けを使って、階層間の視覚的な交流を可能にし、家族や住人のコミュニケーションを促進します。例えば、リビングルームとダイニングルームの間に吹抜けを設けることで、各スペースのつながりが強調されます。
3.2. 開放的な感覚
空間の開放感: 吹抜けを設けることで、閉塞感を感じにくくし、開放的な感覚を提供します。これにより、住人がリラックスしやすく、居心地の良い空間を作ることができます。
吹抜けは、設計において大きな可能性を秘めた要素です。効果的に活用することで、空間に余白を持たせ、機能的かつ美しい住まいを作ることができます。
住まいの設計・計画の解説
→収納計画
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